2015年に「親子喧嘩」で世間を賑わせた大塚家具が業績不振に陥り、身売りの検討に入ったとの報道がありました。
あまりにタイミングよろしく、前回の「社史」を軽視する二代目、三代目のケーススタディと言えそうなので、今回取り上げておきたいと思います。
「親子喧嘩」の印象悪く......
思い起こせば3年前の「親子喧嘩」は、社長の大塚久美子氏と当時会長だった創業者で社長の実父である大塚勝久氏の間で、経営方針に関する意見の相違から勃発したものでした。
家具業界はニトリやイケアなどの進出により、急激な低価格化が進むなか、これと歩調を合わせて大衆化路線を歩むべきとする久美子社長と、あくまで大津家具の歴史を支えてきた会員制&高級家具路線で突き進むべきとする勝久氏が真っ向から対決。双方が相手の追い出しをはかって株主総会で議決権争いを繰り広げ、世間の注目を集めました。
その結果勝利した久美子社長陣営でしたが、その後の業績推移は芳しくなく赤字に次ぐ赤字を重ね、3年前に100億円以上あった手元流動性は遂に20億円を切る危険水域にまで入っています。「親子喧嘩」の当時、世間的には時流に乗った考え方で理論的に正しいと思われていた久美子社長の大衆化路線でしたが、どこに読み違いがあったのでしょうか。
メディアなどの物言いを見てみると、ひとつは低価格家具販売という領域は当時すでにマーケットシェアが固まりつつあり、後発で新規参入するにはそれなりのインパクトが求められていた。
しかし、大塚家具の価格設定はそのインパクトに乏しくやや中途半端な印象に終わってしまったのだと。もう一つは、世間を賑わせた「親子喧嘩」の印象があまりに悪く、会社自体のイメージダウンから客足が遠のく原因となったのだと。これらが同社の業績低迷の原因としてあげられています。