【やってみる民泊】(その3)事前に知っておくべきこと 自治体の条例チェックもしっかり確認!

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   副業で民泊をする際の注意点ってありきゃすか?

  • 旅行者も、ご近所も、快適にすごすには?
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マンションは「民泊」が認められていない場合がある

   副業に限らず、まずは宿泊させる日数があります。民泊新法(住宅宿泊事業法)では、1年間で180日まで(民泊新法2条)との制限があることに、注意が必要です。

   また、届け出前の確認、注意点としては、以下があげられます。

(1)欠格事由に該当していないか。たとえば、成年被後見人または被保佐人であったり、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者であったりすると、住宅宿泊事業(民泊)を営めません(民泊新法4条)。

(2)届出住宅を管轄する自治体の民泊関連条例や、自治体独自のガイドラインの有無と内容

・ 届出者(民泊を営業する人)が賃借人や転借人の場合、賃貸人や転貸人が住宅宿泊事業(民泊)を目的とした賃借物件や転借物件の転貸を承諾しているかどうか。

・ マンションの場合、「マンション管理規約」や管理組合で、住宅宿泊事業(民泊)が禁止されていないかどうかの確認。

・ 届出住宅を管轄する消防から「消防法令適合通知書」を入手しているかの確認。

・ 届出後には、宿泊者の衛生・安全の確保(民泊新法5、6条)の義務などが課せられていることにも注意が必要です。具体的な事例が、条文に記載されていますので紹介しますね。

(1)宿泊者の衛生の確保(民泊新法5条)

ア【床面積の確保義務】

届出住宅の各居室の床面積は、内寸面積で算定し、宿泊者1人当たり3.3平方メートル以上を確保しなければならないとされています。これは感染症などの衛生上のリスクが、不特定多数の宿泊者が1か所に集中することにより高まることが理由です。

イ【定期的な清掃および換気を行う義務】

具体的には、寝具のシーツやカバーなど、人に直接触れるものについては、宿泊者が入れ替わるごとに選択したものに取り替えることとされています。

また、宿泊者が重篤な症状を引き起こす虞がある感染症に罹患したとき(その疑いがあるときも含む)は、保健所に通報するとともに、その指示を受け、その使用した居室や寝具、器具を消毒・廃棄するなどの必要な措置を講じることとされています。

(2)宿泊者の安全の確保(民泊新法6条)

ア【非常用照明器具の設置】

イ【避難経路の表示】

旅館やホテルのような「宿泊者名簿」が必要です

   やっぱり、事業として民泊を営むとなると、やらなきゃならないことがいといろいろとあるんきゃすね。

 

   そうですね。まだありますよ。でも、最初にきちんと対応すれば、あまり心配ないと思います。たとえば、宿泊者が外国人観光客である場合の快適性と利便性の確保(民泊新法7条)という条文もあって、ここでは施設内の設備の使用方法について、外国語を用いて案内することや移動のための交通手段について外国語を用いた情報提供、その他の快適性や利便性の確保を図るために講じる必要のある措置を示しています。

   特に災害時の通報連絡先においては、緊急時にすみやかに確認することが可能なものを備え付けておくことが要求されています。

   なお、「外国語を用いた案内」は宿泊予約の時点で日本語以外の言語として提示した案内であることが必要です。

   さらに、旅館やホテルのように「宿泊者名簿の備付け」(民泊新法8条)が必要です。

   宿泊者名簿の具体的な記載事項は、

・宿泊開始日
・宿泊開始日の開始時刻
・宿泊終了日
・宿泊終了日の終了時刻
・宿泊日数
・宿泊者の種別(代表者または同行者)
・当該宿泊日におけるグループ(代表者と同行者の組み合わせ)の識別
・宿泊者の氏名
・宿泊者の住所
・宿泊者の職業
・宿泊者の国籍
・宿泊者の旅券番号(国籍が「日本」以外の場合,記載が必要)

になります。

   ちなみに、宿泊者名簿は、「民泊制度運営システム」を利用して電子的に作成することが可能なので、これを使うと便利だと思いますよ。

民泊新法に適用に該当するか、あらかじめ確認を!

   そこが「民泊」であるって、周囲からわかるようにしておく必要はないきゃすか?

 

   標識の掲示(13条)という義務があります。民泊(届出住宅)ごとに、公衆の見やすい場所に「住宅宿泊事業者」として届け出済み(届出番号と届出年月日、届け出を受理した都道府県知事などの当該役所の長の名前の記載)であることを示す標識を掲示しなければなりません。

   また、都道府県知事への定期報告(民泊新法14条)が必要になります。民泊ごとに、毎年偶数月の15日までに、その直前の2か月間について届出住宅に人を宿泊させた日数や宿泊者数、延べ宿泊者数、国籍別の宿泊者数の内訳を、届出住宅の所在地を管轄する都道府県知事または保健所設置市などの長に対して報告しなければなりません。

   また、定期報告は原則として、前述の「民泊制度運営システム」を利用して行う必要があります。

   民泊をはじめるときに知っておいたほうがいい法律や条例があれば教えてほしいじぇい。

 

   営業をはじめようとしている民泊が、民泊新法に該当するかどうかを確認するため、旅館業法や、その特例である国家戦略特別区域法、また、届け出住宅を管轄する地方自治体の民泊関連条例や自治体独自のガイドラインも、その有無を含め、確認しておいたほうがいいでしょう。

刈谷 龍太(かりや・りょうた)
弁護士
中央大法科大学院修了。弁護士登録後、都内で研鑽を積み2014年に新宿で、弁護士法人グラディアトル法律事務所(https://www.gladiator.jp/)を創立。代表弁護士として、日々の業務に勤しむほか、メディア出演やコラムを執筆。男女トラブル、労働事件、ネットトラブルなどの依頼のほか、企業法務でも活躍。アクティブな性格で事務所を引っ張り、依頼者や事件に合わせた解決や、提案力を発揮する。千葉県生まれ、35歳。
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