「天から降ってくる」意味不明な社会保険料
その一方で、安定的に増え続けているものもある。
それは給与から天引きされる社会保険料だ。消費税は2014年にやっと3%ほど引き上げられたが、社会保険料は過去20年ほどほぼ一貫して引き上げられ続け、事業主負担分も考慮するといまや実質的な負担は40%を超えている。
(参考:サラリーマンが目先のベアより社会保障の抜本改革を要求すべき理由)
そして、それはおそらく今後も上がり続けるだろう。まとめると、企業で働く人の半分くらいは、賃上げをすでに諦めており、むしろ今後は天引きのさらなる増加によって、可処分所得が減ることを薄々感づいている可能性があるということだ。
「おそらくもう自分の賃金は上がらないだろうが、天引きはまだまだ増えそうだ」
筆者は「根強いデフレマインド」の根っこにあるのは、こうした心理状態ではないかと考えている。そりゃ消費も増えないし、企業もおいそれと値上げなんてできないだろう。
だとすれば、状況を打開するのは並大抵のことではない。とりあえず、社会保障給付の膨張にメスを入れる大改革に取り組みつつ、労使には「誰でも何歳からでも、大きく賃金アップを勝ち取れる流動的な人事制度」を導入してもらう以外に道はない。
20代から50代まで幅広い労働者に「一生懸命頑張って成果を上げさえすれば、来年のボーナスは100万円アップしてもらえるぞ」という確信をもって業務に取り組ませつつ、意味不明な社会保険料が突然天から降ってくる、なんて状況をなくさない限り、デフレマインドなるものは打ち消せないということだ。