銀行員オススメの投資信託は損する!? そのワケは...... 「人事異動があるからぁ」

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   金融庁が、銀行の窓口で投資信託を買った人の2018年3月末時点の運用損益を調べたところ、損失を抱える人は46%にのぼり、全体の半分近くに達したことがわかった。お客が支払う手数料を引いた、実質的な「手取り」を試算した。

   調査の対象は、メガバンクや地方銀行などの29行。損失率が10%以下の人が全体の35%と最多。金融庁によると、平均で10%以上の運用益を出している銀行が6行あった一方、平均の運用損益がマイナスだった銀行もあったという。

  • 銀行員から紹介された投資信託は損する?
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買った時からマイナスからのスタート

   銀行の投信販売が熱を帯びている。企業向け融資の伸び悩みにマイナス金利による資金運用難、アパートローンやカードロンの抑制などの「逆風」にさらされている銀行にとって、投資信託や保険商品の販売手数料はいまや収益の柱の一つになっている。

   そうした背景から、金融庁は投信にかかる販売手数料を注視。投信の運用損益の調査で、2017年から、そのコストを組み込むよう指示していた。販売手数料を組み込むと、市場が好調でも手数料分だけ、当初の投資金額が減るので運用益も減る。結果、2018年3月末時点で実質的な手取りベースでみると、46%の人に損失が生じていたというわけだ。

   たとえば、銀行などの窓口やインターネットなどで購入する際、仮に3%の販売手数料がかかる場合、100万円の投信を購入すると3%差し引かれた97万円分の投資ということになる。

   単純に3%で運用されれば、プラスマイナスゼロ。儲けようと思えば、5%、6%分の運用益が必要になるということだ。

   手数料は他にもある。「信託報酬」(運用会社、販売会社、信託銀行にかかる手数料の合計)がそれで、投資金額に対して、おおよそ年0.2~2%が目安。いわゆるファンドの運用経費にあたり、日割りで計算され少しずつ差し引かれていく。

   仮に、基準価額(株価に準ずるもの)1万円(1万口当たり)の投信を100万口保有している場合、この100万円に対して、信託報酬(別途、消費税)を掛けた金額が手数料(年間)として徴求される。

「高く買って、安く売る」

   とはいえ、銀行で投信を買う人が損する最大の理由は、その多くが「値段が高い時に買って、安くなったら売っている」からだ。

   一般に、投信は購入後の長期保有を前提に商品設計されている。そのため、保有している期間が短いと、十分な運用期間を得られないまま売却されているとみられている。

   ただ、ここ数年はアベノミクス効果で株価が上昇。比較的、「損をしにくい」環境のなかで、なぜ、このような悪い結果になるのか――。

   ファイナンシャルプランナーの本間弘明氏は、こう説明する。

「投資の3原則は『長期』『分散』『積立』。銀行での一般的な投資信託の購入方法は『一括購入』がほとんどで、投資の基本である『積立=時間的な分散』が効かず、高値で購入してしまった場合、その後、基準価額が下がったら上がってくるまで塩漬けの状態となる。しかし、塩漬けの期間も信託報酬がかかってしまうので、我慢しきれずにマイナスを覚悟で解約せざるを得ないケースが散見されます」

   こうしたときに、銀行から別の投信への「買い替え」などの勧誘があったりすれば、つい飛びついても、おかしくない。

銀行員は「売ったら、おしまい」

   そもそも、「いつ買って、いつ売るか」は、初心者ではなかなか判断がつきにくい。その一方で、銀行や証券会社などの販売側は「絶対に儲かります」などの断定的な判断やアドバイスはできない。

   それにもかかわらず、「マイナス金利に強い」「インフレへの備え」「今後のロボット社会に対応」「オリンピック特需で活気がある」などと、その時流に乗ったテーマ型投信や、毎月分配型や分配金の高い投信などをあれこれ取り揃え、なかには手数料が高いうえ、仕組みが複雑で一般には理解しづらい「通貨選択型」や「仕組み債」などのデリバティブを用いたハイリスク・ハイリターン商品も販売している。

   つまり、銀行員が提案する投信は、お客の興味を惹きそうな、「オススメしやすい」投信ということ。銀行員も、その販売実績が自身の業績評価にカウントされるのだから、売るしかない。

   しかも、投信の運用結果は3年後、5年後、商品によっては10年後にならないとわからない。銀行員は早ければ2、3年で異動してしまうので、売った投信が儲かろうと儲かるまいと関係ない。購入者に「自己責任」を押しつけて、「売ったら、おしまい」というわけだ。

   投信は多くの人が買っているときが、高値のとき。銀行員が投信を売らないときが、買いごろなのかもしれない。

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