地銀最大手の横浜銀行とともにコンコルディア・フィナンシャルグループの傘下にある第二地銀、東日本銀行に業務改善命令が出されました。
つい3か月ほど前にも福島銀行に、同じく業務改善命令が出されていますが、こちらは業績不振を理由としたもの。東日本銀行へのそれは、大量の不適切融資が発覚したことを理由とするもので、免許業務である銀行にとっては最も由々しき事由であると言えます。
鶴のひと声!「利益優先」のなれの果て
東日本銀行は法人融資に際して、必要資金以上の金額を融資し余剰分を強制的に定期預金で預けさせていたほか、さらに問題なのは融資に際して理由のない不適切な取扱手数料を徴求していたことです。
その手数料金額たるや、総額43億円超。それが1、2か店でのことではなく、大半の支店で同じような事例が見つかったのだと言いますから、完全に組織ぐるみの悪事であると判断され、今回の発令に至った模様です。
これらの不正融資案件は2015年以降に集中しているそうで、これは14年11月に横浜銀行との経営統合が合意に至り、16年のコンコルディア・フィナンシャルグループの発足に向けて動き出した時期と符合します。
新聞報道によれば、「規模、収益で横浜に見劣る同行が、統合計画を自行に有利にすすめるために、無理な利益の積み上げをはかった」と言われており、組織ぐるみの不正融資は当時の同行トップを含めた経営幹部の「利益積み上げ最優先」指示によって行われてきた、と捉えることができそうです。
経営トップが自己のプライドや保身のために、計数目標として無理な数字の達成を部下に押し付け、それが結果的に組織ぐるみの不正につながるという例は、オリンパス光学、東芝、さらには直近で今回の件と同じ銀行界でのスルガ銀行の例など、トップがワンマン気質で組織内発言力が強い組織に多い不祥事の原因であるように思えます。
オリンパス光学や東芝のような名門企業では、組織サイズの大きさや自社の栄光の歴史に裏打ちされそれ相当にトップの発言が持つ強制力は強くなります。スルガ銀行は、銀行には珍しいオーナートップが指揮を執る企業であり、当然その発言力は強いです。
今回の東日本銀行はどうかといえば、問題融資発生時のトップは旧大蔵省幹部の天下りです。監督官庁出身のエリートトップと第二地銀の叩き上げのプロパー行員とでは力の差は歴然であり、やはりトップの発言が持つ強制力はかなり強いと考えられます。