20年ぶりのフランス優勝にわいたサッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会では、19歳のニューヒーロー、エムバペ選手の活躍に世界中の注目が集まりました。
とりわけ衝撃を与えたのがその俊足! 相手プレーヤーを寄せ付けない脅威の瞬発力を、「ボルトを超えるスピード!」と報じたメディアもあったほどです。
プロサッカー選手になる夢
ところが、オリンピックの陸上競技で金メダル8回を獲得した、本家本元の世界「最速男」ウサイン・ボルト氏(31、ジャマイカ)も黙ってはいません。なんと、オーストラリアのサッカークラブ、セントラル・コースト・マリナーズへの加入に向けて交渉していることを、ボルト氏のエージェントが発表しました。
2017年夏の引退以来、プロサッカー選手デビューに向けて着々と修行をしていたというのですから驚きです。
Usain Bolt is in talks for soccer trial with Australia's Central Coast Mariners
(ウサイン・ボルト氏は、オーストラリアのセントラル・コースト・マリナーズとトライアルに向けて交渉をしている)
・in talks with~:~と話し合いをしている、~と交渉をしている
ボルト氏は6週間のトライアルに向けて交渉中で、順調にいけば1シーズンの契約を獲得するかもしれないと報じられています。
100メートルと200メートルで世界記録を持つボルト氏は、17年8月にロンドンで開催された世界陸上を最後に、競技から引退をしていました。引退セレモニーで「『何でも可能だ』というのが私のモットーだ」というメッセージを残していましたが、そのモットー通り、長年の夢を実現するために修業を重ねていたというのです!
じつはボルト氏は、以前からプロのサッカー選手になる夢を語っていました。
Bolt is hoping to make his dreams of playing professional soccer a reality
(ボルト氏は、プロのサッカー選手になるという夢を実現することを望んでいる)
・be hoping to~:~を望んでいる
・make one's dreams reality:~の夢を実現する
ボルト氏はこの1年間で、ドイツやノルウェー、南アフリカのサッカークラブでトレーニングを受けていました。気になる実力のほどは、独ブンデスリーグのレポートで「すばらしいヘディングとパスワークで、関係者を魅了した!」と評されたほどのレベルだそうです。
気になる背番号はまさかの「9.58」!
さて、ボルト氏のおかげで一躍注目の的になったオーストラリアのサッカーAリーグですが、本当に「プロサッカー選手 ボルト」は誕生するのでしょうか? 報酬をめぐる最終交渉に入ったという報道もありますが、関係者は「ボルト氏の実力次第」と慎重な姿勢を見せています。
The most important thing is we wait to see how good a footballer he is.
(一番大切なことは、ボルト氏がどれだけすぐれたサッカー選手かを静観することだ)
陸上界では史上最高のスター選手でも、サッカー界では実力を試される新人扱いということでしょうか。
ちなみにボルト氏は、すでにいくつかのサッカー親善試合で実践デビューをしています。その時の背番号は、まさかの「9.58」!自身が2009年に出した100メートルの世界記録9.58秒にちなんだ番号でした。
念願のプロサッカー選手になったあかつきには、ぜひとも背番号「9.58」を実現してほしいものです。
ボルトVSエムバぺを、I can't wait to see!
さて、今週のニュースな英語は、「wait to see」(静観する)です。以前も「wait and see」(様子を見る)という表現を紹介しましたが、今回はちょっとレベルを上げたパターンを学習しましょう。
まずは、後ろに「how」や「what」をつけて「~かどうかを静観する」という表現です。
Let's wait to see how it all looks in the new management team
(新体制がどうなるか、静観しよう)
You had better wait to see what everyone else does.
(他の人が何をするか、出方を見たほうがいいよ)
前に「can」の否定形「can not」を付けると、「~したくてたまらない(静観できない)」という意味になります。
I can't wait to see how this project will turn out.
(このプロジェクトがどうなるか、早く見たくてたまらない)
I can't wait to see you.
(あなたに会いたくてたまらない)
サッカー選手を目指すボルト氏は、W杯ロシア大会の決勝を現地で観戦したそうです。「サッカー界のボルト」こと、エムバペ選手の「走力」も目の当たりにしたことでしょう。果たして「サッカー界最速の男」を目指して、この二人がピッチで戦う日は来るのでしょうか?
「I can't wait to see」(見たくてたまらない!)という表現がピッタリです。(井津川倫子)