生保大手、「新興」との連携に活路!? 少子高齢化・マイナス金利にガマンならない

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   生命保険大手が、ソニー生命保険や楽天生命保険といった、勢いのある新興の生命保険会社との距離を縮めている。

   少子高齢化に日本銀行によるマイナス金利政策の長期化と、生保業界に吹き荒れる逆風は強まるばかり。生き残りをかけて、次の一手をアライアンスに求めているようだ。

  • 保険会社が営業力強化に腐心……
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マイナス金利で、人気の「外貨建て保険」を卸売り

   住友生命保険と、ソニーフィナンシャルホールディングスの中核であるソニー生命保険は2018年7月4日、米ドル建て保険の販売で業務提携すると発表した。19年1月をめどに、住友生命は約3万人の営業職員を通じて、ソニー生命の米ドル建て終身保険、米ドル建て養老保険を販売する。

   生保各社は2016年2月からの日銀のマイナス金利政策で、日本円で運用する保険商品の利回りが伸び悩み、厳しい状況が続いている。そうしたなか、保険会社の多くが外貨建て保険商品の開発、投入。この分野を伸ばすことで、販売の落ち込みを食い止めようとしている。

   住友生命はソニー生命の外貨建て保険を販売することで、販売手数料を得るほか、外貨建て保険をメニューに加え、商品ラインアップを拡充できるメリットがある。

   ソニー生命との提携について、住友生命は「(自社の)営業職員が売れる、個人向けの外貨建て保険の品揃えのため」と、その狙いを説明。これまで、同社の外貨建て保険は銀行代理店を通じて販売していたが、一時払い(退職金などのまとまったお金で支払ってもらう)の商品に限っていた。「現状、商品開発は健康増進タイプなどに注力しており、また新商品の開発には時間がかかることもあって、商品を卸してもらうことにしました」と話す。

   超低金利の現状が長引くなか、円建て保険は利回りの魅力が薄い。「少しでも将来のために遺したいというニーズに応えていきたい」という。

   一方、米ドル建て保険商品を積極的に推進しているソニー生命は、住友生命の販売網を活用することで、さらなる売り上げ増を見込んでいる。

魅力の「楽天経済圏」 第一生命「秋波」送る

   一方、これより先の4月23日、第一生命ホールディングス(HD)と楽天生命保険が、保険商品の販売や調査・研究の分野で業務提携すると発表した。第一生命グループの商品開発力と楽天グループが持つ約9500万人の顧客基盤を組み合わせ、さらなる企業価値の向上を目指すという。

   第一生命HD傘下で、乗り合い代理店向け保険を手がけるネオファースト生命保険が、「楽天市場」の出店企業とその従業員に応じて、保険商品をカスタマイズしたうえで、楽天生命を通じて販売。また、調査・研究の分野では、両社のテクノロジーや、スタートアップ企業とのネットワークを生かした新商品の開発を共同で検討・実施する計画だ。

   第一生命HDは、販売先の多様化を進めており、後継者不足に悩む中小企業などで需要が高まっている事業継続の分野に注力し、収益拡大を図りたい。楽天生命との提携に、第一生命グループの関係者は、

「楽天生命は仮想店舗向けのオーナー向け保険などに力を入れたい。第一生命グループとしては楽天に保険商品の開発で協力する傍ら、楽天市場に集まる中小事業主や若者層を取り込みたい。楽天が抱える顧客層に魅力を感じているのは、なにも生保にとどまらないはずだ」

と説明。第一生命側が、秋波を送ったことを明かす。

   さらに7月2日には、楽天は朝日火災海上保険を完全子会社化した「楽天損害保険」が誕生。これにより、銀行、証券、生保、損保、カードのすべてに「楽天」が冠された、事実上の「楽天フィナンシャルグループ(FG)」が完成した。楽天市場に集まる仮想店舗の事業者と消費者を抱えるECサイトと連携した、この「楽天経済圏」(三木谷浩史社長)こそが「楽天FG」の強み。

   しかも、楽天は携帯電話事業に参入。カード事業を中心に、消費から銀行、証券、保険のすべての取引が、1台のスマートフォンで済む時代がやって来たのだ。

   ここ数年、保険大手の「営業」といえば、銀行や保険代理店を通じて行う機会が増えた。ただ、その半面で代理店(販売)手数料の問題が浮上。保険会社も、販売する銀行なども顧客とのトラブルを招くケースがあって、やり玉にあがっている。それに伴い、金融庁の監視の目も強まった。

   保険大手は、かつてオフィスに出入りしていた保険レディが建物から追い出され、「自力営業」に腐心するなか、営業力強化のためにはなりふり構わなくなってきたのかもしれない。

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