家族の介護や看護のため、現在就いている仕事から離れる「介護離職」者が年間で9万9100人にのぼることが、総務省が2018年7月13日に発表した「2017年 就業構造基本調査」でわかった。
安倍政権は2020年代初めまでに「介護離職ゼロ」を掲げているが、前回調査の2012年(10万1100人)と比べて、わずか2000人の減少にとどまり、深刻な状況が続いている。
介護離職の約8割が女性
家族の介護のために長年勤めてきた会社を離れたり、転職したりする人は少なくない。なかには、地方へUターンして再就職する人もいる。調査によると、過去1年間(2016年10月~17年9月)に「介護・看護のため」に前職を離職した人をみると、9万9000人で、このうち男性は2万4000人、女性は7万5100人となった。女性が約8割を占めている。
前回調査(2012年)と比べると、女性が6100人減る一方で、男性は4100人増えた。
就業状態別では、調査時点で仕事をしている人(有業者)は2万4600人、仕事をしていない人(無業者)は7万4500人だった。前回調査の2012年と比べると、有業者は6800増え、無業者は8800人減少した。
過去1年間に前職を離職した人に占める介護離職者の割合は1.8%で、前回調査から0.1ポイント上がった。また、会社などに勤めながら介護をしている人は、約300万人だった。
介護をしている人について、介護日数別の割合を男女と雇用形態別にみると、「正規の職員・従業員」のうち、男性は「月に3日以内」が 32.5%と最も高く、次いで「週に1日」の22.6%、「週に6日以上」の20.3%となった。女性は「週に6日以上」が 30.7%と最も高く、「月に3日以内」の25.1%、「週に1日」の19.0%と続く。
また、「非正規の職員・従業員」をみると、男性は「週に6日以上」が 29.8%と最も高 く、次いで「月に3日以内」が22.9%、「週に1日」が15.1%。女性は「週に6日以上」が 32.9%と最も高く、次いで「月に3日以内」の20.7%、「週に1日」の17.3%となった。