ビジネスには「明確な正解」がある
ならば、やはりビジネスにおけるコンプライアンスは似て非なるものです。たとえば、仮に法律に違反はなくとも、弱者をいじめるようなビジネスモデルがあれば、それは確実に多くの人から非難の対象になるでしょう。つまり、ビジネスにおける売り手サイドのモラルを問われかねない行為や戦略は、わが国ではコンプライアンスという概念が浸透して以降、基本的に誰が考えてもアウトだからです。ビジネスには、明確な正解があるのです。
私はそんなことを頭の中で考えながら、「いや社長、スポーツとビジネスでは土俵が違いませんか」と答えたのですが、社長は私の発言に即答で熱っぽく反応します。
「スポーツだろうとビジネスだろうと、ダメなものはダメだよ!」
私と社長で意見が食い違っているのは、あくまでスポーツの部分だけ。もしビジネスの部分の意見が食い違っていたなら、それはA社長の経営姿勢に関わる問題なので、こちらもムキになってでも反論するところですが、その必要もありません。
松井選手の調査のとおり、スポーツの戦略に対する受けとめ方は人それぞれなのですから。「なるほど、社長のおっしゃる通りかもしれませんね」、として、この話題は終わりにしました。(大関暁夫)