「被災者支援を」と2000万円だまし取る手口も
逆に「個人情報が漏れている」と脅す手口もある。
【事例4】地震の直後に公的機関を名乗って電話があった。「あなたの個人情報が3つの会社に漏れているが、取り消しますか」と聞かれ、取り消しを希望した。すると、「2社の情報は取り消したが、環境関係の1社の情報が取り消せない。あなたは震災が起こったときの避難所として国に選ばれ登録されている」と言われた。自宅を避難所にされるのは困るので、取り消してほしいと伝えた。しかし、「代わりの人を登録しないと取り消せない」と言われ、電話の相手が代わりの人を探すことになった。後日、「代わりの人が見つかり、あなたがその人から防災関連機器を購入することになった」と連絡が入った。話が不審だ。(70代女性)
また、人々の「被災者を支援したい」という気持ちに付けこみ、投資話を持ちかけるケースも。
【事例5】大手企業を名乗る者から「あなたは高齢者施設の優先的入居権を持っているが、その権利を災害で困っている人に譲らないか」と電話があった。「300万円で買い取るが、あなたが立て替えた後、支援が成立した段階で当社から振り込む」と言われた。困っている人の役に立てるならと承諾し、自宅に受け取りに来た男性に300万円を手渡した。後日、金融庁を名乗る者から「あの取引は犯罪になり、懲役に科せられる。回避するために2000万円が必要だ。支払わなければ家族にも迷惑がかかる」と電話があった。家族に借金を頼んだところ、「それは詐欺だ」と言われた。(70代女性)
東日本大震災以降、人々の防災意識が高まったことを背景に、地震への不安を煽って高額の耐震工事の契約を結ばせるケースが増えている。また、被災地支援のための募金や、被災地復興を目的としたファンドへの投資話も急増している。なかでも特に注意したいのは、自然災害を受けたときの修理を「保険金を使って無料で工事ができる」という勧誘だ。
消費者庁では、
「(地震保険とセットではない)火災保険では、全額修理費がでることはありませんが、あたかも工事費が全額出るかのようにもちかけ、結果的に高額の保険手数料を請求されるケースが多い。キャンセルしようとすると、高額のキャンセル料を請求される。このように、自然災害に関しては、さまざまな消費者トラブルが発生していることを知っておき、絶対に被害にあわないようにしてください」
と話している。
不審に思ったらすぐに消費者ホットライン「188(=いやや!)」へ。