ヤバイ! トルコのインフレ率 7月は13%台に突入?
そうしたなか、6月24日にトルコで、7月1日にはメキシコで、今後の為替相場のゆくえを左右しかねない大統領選があった。 トルコは、「反米・反トランプ」のエルドアン大統領が再選を果たしたことで、強硬的な外交政策を続く公算は大きく、シリアやイラクへの軍事介入が懸念される。欧米との関係改善は進まず、そのツケで、トルコリラ売りと物価高の悪循環への懸念もまた高まっている。
6月29日の為替相場は予想外のトルコリラ高で、1トルコリラ=23円45銭。15日終値の1トルコリラ=23円35銭から、10銭ほどのトルコリラ高円安だった。
一方のメキシコ大統領選も、左派(反米的)のロペスオブラドール氏(64)が当選確実と、7月2日に報じられた。
どちらも反米的な立場で、通貨の下落圧力は強まりそうだが、外為どっとコム総合研究所・調査部長の神田卓也氏はトルコのインフレ率を問題視している。
7月には13%に達しそうな勢いで、
「インフレ率が高いのに、エルドアン大統領は中央銀行の利上げをけん制するような発言に終始していた。それでは通貨価値が下がるのは当たり前。その一方、トルコは経常収支と財政の『双子の赤字』に苦しんでおり、放っておけば財政破たんしかねません。これが最大の懸念材料です」
とみている。
これに対して、メキシコのインフレ率は4.5%(5月)。神田氏は、
「このインフレ率の差が、評価を分けている『差』でしょう」
と分析。
「メキシコペソはトランプ政権誕生後から下落基調ですが、買い戻しが入っています。この買戻しがあるかないかの差ともいえます」
トルコは、米国との関係や中東の地政学リスクと、不透明感が漂う。一方のメキシコは、ロペスオブラドール大統領が反汚職を掲げ、また財政規律を保ち、米国との友好的な関係を求めること、原油企業の民営化を容認する姿勢をみせており、為替市場では今後への期待感が膨らんでいる。