サッカーFIFAワールドカップ(W杯)ロシア大会における日本代表チームの活躍で、日本中が大変盛り上がりました。
惜しくも日本初のベスト8進出こそなりませんでしたが、2大会ぶりに1次リーグを勝ち上がっての決勝トーナメント・ベスト16戦進出は、戦前の世間の予想を裏切る大健闘であったと言っていいでしょう。
1次リーグでは、H組4チーム中でFIFAランクでは最下位ながら、1勝1敗1引き分けの勝ち点4で2位通過。決勝トーナメント・ベスト16戦では、FIFAランキング3位の強豪ベルギーを相手に、一時は2-0でリードするなど善戦の末の惜敗という大善戦に、日本国中がワールドカップ・フィーバーに沸いた2週間でありました。
西野監督のやり方で正解!?
さて、大会前の日本代表チームへの世論的な評価はかなり低い状況にありました。その原因は何であったのかといえば、ひとつは本大会を前になかなか勝てない日本チームに、1勝もできずに世界との実力差を改めて思い知らされた前回リオデジャネイロ大会での惨敗記憶。加えて、それ以上に不安の要因となったのが、大会直前に日本サッカー協会がハリルホジッチ監督を電撃解任し、日本人の西野朗氏の指揮に委ねたことにあったと言えそうです。
西野氏はサッカーチームの指導者として、コートジボワールやアルジェリアのナショナル・チームをワールドカップ出場へ導いたハリルホジッチ氏の実績に比べれば、数弾の落差は認めざるを得ないのは事実でした。
ところが、フタを開けてみれば予想外の大善戦に、西野監督に対する世間の評価はベルギー戦敗退後の今もウナギ登りの上昇を続けています。
もちろん、ハリルホジッチ氏がそのまま大会の指揮を執っていたらどうなっていたのか、こればかりは何とも言えませんが、日本サッカー協会が大会直前にもかかわらず、代表チームの監督を解任した理由はコミュニケーションの問題にあったと言われています。
ハリル氏の上から目線での高圧的な物言いが、たびたび代表地チーム主力選手との間に不協和音を生んでいたとの話はあちこちで聞かれていましたし、その根本的な原因は選手からの申し出を受け入れない、ハリル氏の独裁的指揮権というやり方にあったようです。チームが勝って代表の座をつかんだ時には、それでも選手は着いてくるものですが、本大会を前に親善試合とは言え勝てない試合が続くと、ハリル氏の独断的なやり方に対する選手たちの不平不満はつのり、個別選手との衝突も避けられない状況になっていったのでしょう。
西野氏は大会まで残された時間がわずか3か月という時点での監督就任であり、とにかく選手の声を聞くコミュニケーションを心がけたと言います。ハリル氏は技術面、戦略面で代表監督として劣っていたわけではなく、コミュニケーションの取り方に問題がありました。その点の改善に重点をおいて対応した西野氏のやり方は、正解だったと言えそうです。