米中貿易摩擦、全面戦争の可能性は低い?
では、今後はどうか――。トランプ米大統領の行動は誰にも読めないので予測は難しいが、筆者としては基本的に楽観的に考えている。貿易戦争は米国の企業や国民にも悪影響を及ぼすので、いくらトランプでも全面的に踏み切る可能性は低いのではないか。中国と消耗戦してもメリットがないことは、彼も早晩理解するものと思う。
そのため、世界の株式相場に極端なネガティブな反応は出ないと考えている。仮に株式相場が大きく下がるような事態になれば、トランプ米大統領も真っ当な経済政策をとることになるだろう。
日本の株式相場は貿易摩擦に反応しやすい特徴を有しているため、今後もトランプ米大統領の一挙手一投足に反応して相場は変動していくであろう。しかし、こちらも全面的な米中貿易戦争というような極端なシナリオにならない限り、中期的には大きな下落はないのではないか。
大事なのは「トランプが何を言っているか」ではなく「トランプが何を実行したか」である。「関税をかけるぞ」というのは「メキシコとの国境に壁をつくる」「ロケットマン」というのと同様に、単なるレトリックに過ぎない。そこに実際の行動が伴うかどうかがすべてである。
彼の一言一言に振り回されるのではなく、流れを追うことが肝要だ。(小田切尚登)