許せん!? 未婚男性増加のウラに、驚きの「バツありオットセイ男」!(後編)研究者インタビュー

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   未婚化が進み、少子高齢化が社会問題になっている背景には、日本に事実上の「一夫多妻制」が進行しているという衝撃のリポートを「仰天、日本は『一夫多妻社会』!?未婚男性増のウラに『バツありオットセイ男』!(前編)」(2018年6月30日付)で紹介した。今回はその後編。

   ニッセイ基礎研究所生活研究部研究員の天野馨南子(あまの・かなこ)さんは「じつは離婚経験者の行動が結婚マーケットのカギを握っているのです」と語る。とくに、「百戦錬磨」のバツあり男に負けないためには未婚男性はどうすればよいのか、アドバイスをもらった。

  • とにかく早く結婚に動け!(写真はイメージ)
    とにかく早く結婚に動け!(写真はイメージ)
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イマドキ女子は「3高」より「3優」男子を求む

   ――男性の未婚化が女性より大きく進む背景には、じつはタイムラグがある一夫多妻制が進行。「バツあり男性」に若い女性を奪われ、あぶれる男性が増えているという指摘は衝撃的でした。なぜ、バツあり男性は再婚の時に勝ち組になれるのでしょうか。

天野馨南子さん「離婚で女性と向き合う経験を積んで、新しいパートナーに対し、初婚時代に比べると謙虚で思いやりがでてくる方も少なくないからだと思います。結婚支援の現場でもよく上がってくる声の一つですが、女性は自分の仕事や成功の話しばかりをしたり、自慢話が多かったりする男性よりも、謙虚さと思いやりを見せる男性に思わずホロリとするものです。
今の若い女性の理想の結婚相手男性像ってご存知ですか? かつては『3高』(高学歴・高収入・高身長)と言われましたが、イマドキ女子が憧れるのは『私との家庭だけを見てくれる』、いわゆる『一途男子』(いちずだんし)なんですよ」

   ――「一途男子」ですか?

天野さん「『家族に優しい』『私にだけ優しい』『家計に優しい』と、わかりやすく妻に一途な男性です。ジェーシービー(JCB)の『イマドキ女性の節約意識』という2018年の調査結果があるのですが、その中で結婚相手に20代、30代の女性が望む条件で、1位は『育児や家事をしてくれる人』、2位は『浮気に無縁で自分にだけ優しい人』です。
この2つの条件はおよそ2人に1人の女性が選んでいる圧倒的な条件なんです。そして『仕事を頑張る人』『会話が面白い人』と続き、5位が『節約が得意で家計に優しい人』です。社会や家庭といったチームにおいてチームプレーが得意な男性をおよそ3~4人に1人の女性が支持しています。
高収入を選んだ女性は16%で7位、高身長は13位、そして高学歴はなんと最下位の16位で1割もいません。もはや男性の恋愛・結婚の自信の根拠であった『3高』は過去の話です。いまの若い女性は長い結婚生活を協力しながら楽しい家庭を築ける『私に一途な』相手を求めています」

イマドキ男子は「年下妻」より「姉さん女房」

   ――なるほど。かつては夫の経済力などに依存してきた女性の意識が変わってきているのですね。ほかにも「謙虚さ」と「思いやり」以外にバツあり男性の強みはありますか。

天野さん「一度は結婚という希望を実現させているわけですから、結婚に持ち込むプレゼン能力は高いですね」

   ――言い方はよくないですが、サカナを釣り上げる力が非常に強いということですね。釣った後はエサをあげない人もいるようですが...(笑)。

天野さん「ただ、その後、ずっと妻を大切にする実行力があるかどうかは不明です」

   ――最近の男性の意識はいかがでしょうか。「姉さん女房」が増えているのはどうしてですか。

天野さん「最近、仕事の関係で、ある大学の理系学科で『結婚願望がない』と回答した男子が9割もいたという悲鳴のような話を聞きました。理由はハッキリしていて、『責任が重いから』という答えが多かったそうです。考えてみれば当然です。現在、男女とも4年制の大学進学率はほぼ同じになっています。自分と同じように高学歴、就職先も多様化してきた女性を、結婚してなぜ当然のように養わなければいけないのか、理系の男子は計算が得意なだけに、そう気づきます」

   ――つまり、自分と同じように学歴があるのだから、可能な限り女性も働くべきだということですね。

天野さん「はい。しかし、現実には本人だけの問題ではありませんが、女性は出産して仕事を休んだり、一度は辞めたりする人がまだ少なくないです。その間、夫側に経済的負担が予想されます。そのうえ『イクメン』であれなどと叫ばれると、『もう結婚なんてイヤ!』と思いたくなるのはわかる気がします。それならむしろ、自分より稼ぎのよい女性と結婚したい、自分をリードしてくれる年上の人がいい、と。昔の若い女性が夫に抱く感覚と同じかもしれません」

「未婚男子は、できるだけ早く婚活に動きましょう!」

   ――では、バツあり男に若い女性をとられ、「負け組」にならないようにするには未婚男性はどうしたらよいのでしょうか。

天野さん「もし結婚したいという気持ちがあるのであれば、できるだけ早く動きましょう!ということです。よく、『女性は若くないとダメ』という男性が多いですが、じつは結婚マーケットでは男性も同じなのです。
結婚支援の現場でも、若い男性ほど手があがる・申し込みが通るなど、状況がよく動きます。のんきに『オトコはいくつになっても(子どもを)授かれるし』(これも実際は間違った知識なのですが)などと構えていると、そもそも結婚対象にしたいと思っている年下や同年代の女性がどんどん少なくなってしまいます」

   ――男性も30歳を過ぎると、厳しい状態になるということですか。

天野さん「はい。国勢調査の結果では、死別離別も含むと、30代前半女性の約7割がすでに既婚者です。これが20代後半であれば6割の女性が残ってはいます。しかし残念ながら、夫婦の平均交際期間が4年を超えていますので、女性の平均初婚年齢から逆算すると、平均的には20代前半ですでに『将来の結婚相手に売約済み』な女性が多い、ということです。
特に若い女性との年の差婚を狙うならば、初婚男性は不利です。夫婦の平均的な年齢差は2歳で、ただでさえ年の差婚が成立しにくくなっている上に、かなり年下妻との結婚では、バツありの男性の方が統計上、3~4倍も有利という結果が出ています」

   ――3~4倍というと、バツあり男のほうが圧倒的に強いではないですか!

天野さん「ですから、とにかく早く動いて!というのです。『年下の若い女性がいい』などという甘い夢を見ないで、まずは同年代、あるいは年上の女性と結婚して、男女が真剣に向きあう機会獲得を!とアドバイスしたいです」
(ニッセイ基礎研究所提供)
(ニッセイ基礎研究所:提供)

プロフィール
天野馨南子(あまの・かなこ)
ニッセイ基礎研究所・生活研究部研究員
1995年日本生命保険入社、99年ニッセイ基礎研究所に出向。内閣府の「地域少子化対策強化事業の調査研究・効果検証と優良事例調査」企画・分析会議委員、愛媛県法人会と松山市「まつやま人口減少対策推進会議」専門部会結婚支援ビッグデータ・オープンデータ活用研究会メンバーなどを歴任。真の日本の女性活躍推進・少子化対策のあり方を考察・提言を発信している。

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