その54 「会社主導」のジーンズ出勤 「こんなものいらない!?」(岩城元)

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着物で通勤、やってみると意外にも......

   話は飛ぶが、共産党の一党独裁である中国では、服装にも厳しい規制があるように思われるかもしれない。だが、そうではないみたいだ。

   2000年代の前半、僕はハルビンの大学で、ボランティアで日本語を教えていた。ある日、日本語科の入学式があるというので、日本から携えてきた一張羅のスーツを着込んで出席した。

   ほかの先生たちも同じような服装かと思っていたら、日本語科のトップのK教授は革ジャンにジーンズという格好だった。

   数年前、その日本語科の創立30周年の記念式典があり、僕も日本から招かれた。もちろん、スーツにネクタイ姿で出席した。すでに定年退職したK教授にも再会したが、彼はしゃれたシャツを1枚を羽織っているだけだった。

   一般に中国では(僕が付き合っていた人たちに限ってのことかもしれないが)結婚式だって、花嫁花婿は着飾っているが、参会者には普段着が多かった。

   朝日新聞には、着物で通勤するIT技術者の話も載っていた。妻の影響で、着物のおしゃれに開眼したのがきっかけで、最初は「周囲の目」が気がかりだったが、やってみると、上司、同僚や社外の人からもすんなりと受け入れられたそうだ。

   われらが勤め人諸君にも、これくらいの「勇気」を持ってほしいものである。(岩城元)

岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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