着物で通勤、やってみると意外にも......
話は飛ぶが、共産党の一党独裁である中国では、服装にも厳しい規制があるように思われるかもしれない。だが、そうではないみたいだ。
2000年代の前半、僕はハルビンの大学で、ボランティアで日本語を教えていた。ある日、日本語科の入学式があるというので、日本から携えてきた一張羅のスーツを着込んで出席した。
ほかの先生たちも同じような服装かと思っていたら、日本語科のトップのK教授は革ジャンにジーンズという格好だった。
数年前、その日本語科の創立30周年の記念式典があり、僕も日本から招かれた。もちろん、スーツにネクタイ姿で出席した。すでに定年退職したK教授にも再会したが、彼はしゃれたシャツを1枚を羽織っているだけだった。
一般に中国では(僕が付き合っていた人たちに限ってのことかもしれないが)結婚式だって、花嫁花婿は着飾っているが、参会者には普段着が多かった。
朝日新聞には、着物で通勤するIT技術者の話も載っていた。妻の影響で、着物のおしゃれに開眼したのがきっかけで、最初は「周囲の目」が気がかりだったが、やってみると、上司、同僚や社外の人からもすんなりと受け入れられたそうだ。
われらが勤め人諸君にも、これくらいの「勇気」を持ってほしいものである。(岩城元)