バツあり男は7歳下「幼な妻」、バツあり女は4歳下「幼な夫」と
現在、3組に1組が離婚する。その一方、初婚同士の結婚は全体の4分の3で、4組に1組は再婚者が含まれる結婚だ。天野さんは「離婚というとネガティブなイメージがありますが、再婚を再スタートと考えると、皆さんとてもポジティブです。実際に再婚者たちをみると、男女ともかなり年下の相手を選ぶ傾向が強くみられ、初婚者に比べて非常に積極的に見えます」という。
図表4をみると、初婚同士のカップルでは、夫のほうが年上なのが55%、同い年が21%、妻のほうが年上なのが24%だ。ところが、夫が再婚・妻が初婚のケースだと、夫のほうが年上の割合は80%に上昇する。
しかも、カップルの年齢差を詳細に調べると、夫が7歳以上の割合が44%と、ほぼ半数が「幼な妻」を獲得する特殊な状態だ。これは犯罪的ともいえそうで、あぶれる男性が出るのも無理はない。一方、妻が再婚・夫が初婚のケースでも、「姉さん女房」の割合は44%に達し(夫が年上は43%)、妻が4歳以上の割合が26%といちばん多く、ほぼ4分の1になった。
どうして離婚を経験すると、男女ともかなり年下の相手を選ぶ傾向が強まるのだろうか。天野さんはこう推測する。
「男女とも年下のパートナーに向かう行動は同じですが、初婚での年の差パターンからの選択の変化を見る限り、理由は正反対だと思います。離婚という経験が糧となり、男女とも次の結婚ではパートナーに対して、求めすぎない、どちらかといえば庇護してあげたいという結婚に向かうように見えます。
しかし、女性の場合は、初婚時代には年上夫から庇護される結婚生活に何らかの理由で傷つき、今度は自分がリードするか、あるいは対等の関係を目指して年下の男性と結婚を選択する傾向が強まるようです。
一方、男性は、同級生のような価値観が対等となる初婚時代の妻と何らかの理由でうまくいかなかったので、今度ははるか年下の妻を庇護する立場のほうが楽だと思うようです。日本には、男性上位の結婚観がいまだに根強くありますが、男性の場合はその意識がさらに強くなり、女性は逆にそこから脱却したい、そんな再婚者の行動が選択パターンの変化からはうかがえます」
こうした「年の差結婚」の増加が、未婚の進行にどんな影響を与えるのだろうか。後編は、天野馨南子さんへのインタビューを紹介する。
プロフィール
天野馨南子(あまの・かなこ)
ニッセイ基礎研究所・生活研究部研究員
1995年日本生命保険入社、99年ニッセイ基礎研究所に出向。内閣府の「地域少子化対策強化事業の調査研究・効果検証と優良事例調査」企画・分析会議委員、愛媛県法人会と松山市「まつやま人口減少対策推進会議」専門部会結婚支援ビッグデータ・オープンデータ活用研究会メンバーなどを歴任。真の日本の女性活躍推進・少子化対策のあり方を考察・提言を発信している。