男女とも「再婚者」が結婚マーケットのキーマンに
もちろん、その逆もある。1人の女性が離婚をし、初婚男性と2回結婚すれば、タイムラグ式の一妻多夫制が生じる。そこで天野さんは、「再婚男性+初婚女性の結婚(タイムラグ式一夫多妻制が発生)」「再婚女性+初婚男性の結婚(タイムラグ式一妻多夫制が発生)」とで、いったい、どちらが多いのか役所に届け出た結婚のカタチの件数推移から調べた(厚生労働省・人口動態統計調査)。
「再婚男性+初婚女性の結婚」のほうが、その男女逆パターンよりも多ければ、タイムラグ式一夫多妻制結婚が優勢、つまり男性の未婚化が女性の未婚化よりも進む社会である証明になる=図表2参照。
その結果、最新年データではA:夫婦とも初婚(74.5%)、B:夫再婚・妻初婚(9.7%)、C:夫初婚・妻再婚(6.9%)、D:夫婦とも再婚(9.0%)の4つのタイプに分かれた。
このBとCの差が長年継続していることが積み重なって、タイムラグ式一夫多妻制による50歳時点での婚歴なし男女の割合格差を生んでいたのだ=図表3参照。
この結果について、天野さんはこう説明する。
「結婚はあくまでも個人の希望ありきの問題です。ですので、あくまでも結婚を希望する方の中では、になりますが、再婚して初婚の女性を何度も得る男性は希望の実現者といえるでしょう。一方、再婚男性に初婚女性を何度も奪われることにより、お相手の数が減って結婚が難しくなっている男性は、非実現者となります。
これまで未婚の問題を考える際、いつも未婚者の意識調査が実施されてきましたが、じつは再婚者の存在も背景にはあるのです。ですから結婚というマーケットの中で、再婚・既婚者がどのようなプレイヤーを演じるかを調べることもとても大切なのです」