財務省の文書改ざん問題など国家公務員の不祥事が続発するなか、2018年4月に入省したばかりの新人国家公務員の3割以上が、早くも転職を考えていることが、人事院の調査でわかった。
また、定年まで公務員を務めると考えている人も5割以下に減った。強い「安定」志向から人気のはずの公務員だが、居心地が悪いように映るのだろうか。
「定年まで公務員」は半数以下
調査によると、まず、「国家公務員になった理由は何か」を聞く(複数回答)と、「公共のために仕事ができる」「仕事にやりがいがある」「スケールの大きい仕事ができる」が上位3つを占めた。
特に「公共のために仕事ができる」は70.0%に達し、若き公務員の卵たちが国民に奉仕する使命感に燃えていることがわかる。
しかし、「国家公務員としていつまで働きたいか」を聞くと、「定年まで公務員を続けたい」と答えた人は、46.2%と半数以下だった。これは2017年の54.5%より約8ポイント下がっている。
また、「長期間勤めてから転職を考えたい」(21.2%)、「若いうちに転職を考えたい」(2.0%)、「条件が合えばいつでも転職を考えたい」(9.0%)を合わせると、3割以上の32.2%が、将来の転職を考えているという。これは、昨年の27.4%より約5ポイント増えている。
やはり、森友学園への国有地売却をめぐる財務省文書改ざん問題や、事務次官のセクハラ事件など、国家公務員の不祥事が相次いでいることが影響しているのだろうか――。
J-CASTニュース会社ウォッチ編集部は、調査した人事院人材局企画課の担当者を取材した。担当者は苦笑いをしながら、こう説明した。
「そう思われるのは無理ありませんが、最近の国家公務員の不祥事とは関係ないと思います。というのは、さまざまな不祥事が1年以上にわたって国会で叩かれてきました。今春入省した新人たちは、そのことを知りながら、それでも国家公務員を目指して勉強してきたわけですから」
それでは、なぜ入省早々に転職したいと考える人が増えているのだろう。
担当者によると、アンケート調査では、「国家公務員の採用試験以外に合格または内定したものがあるか」も聞いている。すると、「民間企業」と答えた人が法文系で43.9%もいた。これは5年前の約1.7倍に達し、最近、民間企業も受ける学生が増えているのだ。