戦後最大の倒産となったエアバッグ製造大手のタカタが、民事再生法の手続きを申請してから2018年6月26日でちょうど1年になった。
ところが、驚くことにこの間、懸念されていた国内取引先の連鎖倒産が「ゼロ」だったことがわかった。帝国データバンクと東京商工リサーチが同日、それぞれ独自に調査結果を発表した。
政府、政府系金融機関、自治体の連携プレーが効果
タカタの倒産は、負債総額が1兆5024億円(=申請当時、確定再生債権などの総額は1兆823億円)に達し、製造業では戦後最大の大型倒産となった。
東京商工リサーチの調査では、滋賀県と佐賀県に合わせて2工場を持ち、国内取引先は延べ745社(1次・2次の合計)に及んでいるとしている。そのすべてに倒産が出なかった理由について、東京商工リサーチはこう説明している。
(1)政府が信用保証協会を通じ、タカタと取引関係のある中小企業・小規模事業者を対象に、連鎖倒産防止のための「セーフティネット保証1号」を発動した。これは、一般保証とは別枠の限度額で融資額の100%を保証するものだ。
(2)日本政策金融公庫などの政府系金融機関が、タカタの民事再生法の適用申請で売り上げ減少などの業況が悪化した中小企業・小規模事業者に対して、セーフティネット貸付を実施した。
(3)各自治体が、タカタの取引先への相談窓口を設け、保証協会や商工団体との連携など支援体制を敷いた。
(4)タカタ自身が倒産後に、米国に本社がある自動車部品メーカー、キー・セイフティー・システムズ社に事業を譲渡する計画を進め(2018年4月譲渡)、従来の生産水準を持続した。