「高プロ制度」ってなんだ? 大手新聞で賛否が真っ二つに割れるワケ

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反対派「働き過ぎに歯止めが利かず、過労死に」

   反対派はなぜ「高プロ」に批判的なのだろうか――。それは「高プロ」が導入されれば、労働基準法32条で定める「1日8時間、週40時間を超えて労働させてはならない」という規制の対象から外され、法律上、1日何時間でも働かせてよくなり、働きすぎに歯止めが利かなくなることを危惧するためだ。

   「高プロで最も問題になっているのは、会社の残業代の支払い義務をなくして、際限なく働かされることにならないだろうかという点だ。深夜・休日労働の割増賃金について、厚労省は国会で、働く人に負荷が高い働き方を抑制する目的と認めている。その規制すらなくして、どうやって働く人を守るのか。政府は、働く時間を自ら決める裁量のある人に限られると強調するが、多くの職場では仕事量は自分で決められない。つい先日も、テレビ局の50代の管理監督者らが過労死認定されたではないか」(朝日・5月21日付)

   こうした批判を受けて、政府・与党と一部野党は、「高プロで働くことを会社側と合意した人が、自らの意思で撤回できる」という規定を盛り込む修正案を出した。ただ反対派は、これにも不十分と指摘する。

   「専門職とされていても、日本の雇用慣行では上司の意向に逆らえない人は多いだろう。後で撤回したくなっても、会社との力関係で言いにくい人も出てくるのではないか。高プロの適用には本人の同意が必要なうえ、労働組合と会社側との協議を経なければならない。しかし、労組がチェック機能をどこまで果たせるか疑問だ。経営者側は残業時間制限による労働力不足、非正規雇用の賃上げによるコスト増を埋め合わせるため、高賃金の社員に高プロを適用することを考えるだろう」(毎日・5月23日付)。

   働きすぎに歯止めが利かなくなると同時に、それをチェックする労働基準監督署が労働時間を把握しにくくなる問題点も指摘されている。

   「長時間労働規制の枠から外す働き方になれば際限なく働くことになる。労働時間把握がされないと、(過労死が起きても)労災認定もされにくくなる」(東京・5月23日付)。

   「高プロのモデルである米国のホワイトカラー・エグゼンプション(WE)を現地調査した三浦直子弁護士はこう語る。『残業代を支払わなくてよいなら、使用者側は間違いなく長時間働かせる。そして本来適用されない人にまで拡大していく。米国ではWEが低賃金労働者にまで著しく拡大、長時間労働と健康被害の蔓延により規制強化に動いています。日本は明らかに逆の方向へ進もうとしているのです』。働き方とは、企業の労使が自発的に決めるべき慣習。本来、政府が制度や法改正して上から決めるのは不自然」(中日・5月13日付)。

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