滅私奉公から契約へ
実際問題として「仕事よりプライベート優先」という若手が過半数を超えてしまった以上、もはや「滅私奉公」を前提とする人事制度は維持できないと筆者はみている。では、これからの雇用はどのように変化していくのか。
紆余曲折はあるだろうが、最終的に滅私奉公という概念が消え、契約ベースの雇用関係に移行するというのが筆者の見方だ。そうなれば、あなたの勤務地はここ、担当業務はコレ、そしてそれに対する報酬はいくらと、従来は曖昧だった処遇がすべて契約で規定されて、それ以上のものが要求されることはない。各人は契約の範囲内ではプロフェッショナルとして職責を果たすが、それ以外でプライベートを犠牲にすることはない。
おそらく、今の若手社員が中堅になるころには、「仕事とプライベートどちらを優先しますか?」といった質問自体にあまり意味がなくなるだろう。
「どっちも大事に決まってるじゃないですか」と、普通に答える世代の登場を待ち遠しく感じるのは筆者だけだろうか。(城繁幸)