年収が高い職業の1位が医師であることは当然として、最近は上位に金融の専門職がズラリと並ぶ――。「ファンドマネージャー」や「財務アドバイザリー」などがそれだ。人材会社のビズリーチ(東京都渋谷区)は2018年6月19日、正社員の職種別年収ランキングを発表した=別表参照。
上位10位を見ると、1位「医師」と5位「最高情報責任者(CIO)」、9位「セキュリティコンサルタント」と「戦略コンサルタント」以外は、7つの金融専門職が占めた。
また、ベスト30位以内には、新たに経験・専門性が必要とされる食品工場長、臨床開発などがランクインしている=別表参照。それぞれの特色を見ていくと......
上位にズラリ、金融専門職にコンサルタント
【断トツの1位】
高額年収のイメージが定着している「医師」だが、まだまだ医師不足が深刻で、希少性が増す一方だ。
勤務医は全国に約30万人いるが、不規則な生活を送る人も多く、激務に対する対価として高年収が提示されている。最大提示年収は4800万円、中央値(提示額全体の中央の額)は1400万円で、2 位の「プライベートエクイティ」の最大提示年収2200万円、中央値899万円を大きく引き離している。
【徹底的な成果主義の金融専門職】
現在、働き方改革で注目を集めている「高度プロフェッショナル制度」に入っている金融専門9職種が上位に名を連ねた。2位のプライベートエクイティや3位のファンドマネージャーと財務アドバイザリー、6位のアクチュアリーとストラクチャードファイナンス、プロジェクトファイナンス。9位のコーポレートファイナンス、15位に金融商品開発、18位がM&Aアドバイザリーだ。
金融専門職の年収が高い傾向にあるのは、金融業界は規制業種で、他業種ほど競争環境は厳しくないため、業界全体としては高い利益率を確保されている。その代わり、成果主義が徹底されているとみられる。
【IT戦略や情報セキュリティーの重要性が増している】
5位に入ったCIO(最高情報責任者)。現在、企業のIT戦略や情報セキュリティーが重要課題となっており、情報戦略・IT投資計画の策定などに責任を持つ社員が求められているが、経済産業省の調査によると、国内企業のCIOの設置率は3割程度だ。
人材不足で年収が高くなっている。ほかにも、9位のセキュリティコンサルタントや18位のプロダクトマネージャー、23位のデータサイエンティストとシステムコンサルタント、29位のパッケージ導入コンサルタントなど、IT専門職が多くランクインした。
【生産性向上が求められるなか、コンサルタントとプロ経営者が躍進】
就職ランキングでも人気の高いコンサルティング会社。外資系の戦略コンサルティングファームをはじめ高収益の企業が多く、成果主義が徹底されている。組織や人材に関連する9位の戦略コンサルタント、18位の組織コンサルタント、30位に人事コンサルタントがランクインした。
一方で、外部から「プロ経営者」を招く企業も増え、経営7職種の12位のCOOとCFO、18位CTO、22位CEO、23位の事業企画。30位の経営戦略と事業統括も、上位30位に入った。