PC1台で独立したアイデア社長 「岩崎流」省エネの売り込み方とは......

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   エンジニアの経験を生かし、転職した水道工事会社の事業を効率化。その後、パソコン1台で独立し、ITを駆使して水道工事の図面設計を手がける事業を興した。

   25歳の1990年に会社名を「エプコ」とし、設備コンサルタントとして大手ハウスメーカーの設備工事の合理化とコストダウンを支援して成長すると、東京電力エナジーパートナーとエプコが共同出資して「TEPCOホームテック」を、2017年8月に設立。その初代社長に就任したのが、岩崎辰之氏だ。

   「省エネなどのエネルギーソリューション分野で2021年度までに売り上げ500億円を目指す」という岩崎社長に、4月に導入した新サービスの「エネカリ」と今後の事業展望について聞いた。

  • 「岩崎流」で新サービス「エネカリ」を売り込む
    「岩崎流」で新サービス「エネカリ」を売り込む
  • 「省エネとリフォームでは、消費者へのアプローチ方法が異なる」と岩崎社長
    「省エネとリフォームでは、消費者へのアプローチ方法が異なる」と岩崎社長
  • 「岩崎流」で新サービス「エネカリ」を売り込む
  • 「省エネとリフォームでは、消費者へのアプローチ方法が異なる」と岩崎社長

東京電力グループがリフォーム市場に参入

―― TEPCOホームテックを設立した経緯を、教えてください。

岩崎辰之社長「電力会社は、ここ数年『省エネ』分野に取り組んできました。その一方で、私が創業したエプコは、住宅の設備分野で事業を展開してきました。2016年4月の電力小売りの全面自由化によって、ガス会社や異業種が電力小売り分野に新規参入した一方、電力会社が新しいサービスを提供して、ガス会社などの市場参入に備えなければならないという危機感を持っていたという背景があります。そこで、東京電力グループがリフォーム市場に参入して電力小売りではなく、省エネ設備の工事代や省エネ機器の販売で収益を上げていくという事業モデルに舵を切ってはどうかと提案を差し上げたのが、TEPCOホームテックを立ち上げるきっかけでした。
 そもそも、省エネとリフォームでは、消費者へのアプローチ方法が異なります。省エネでは、消費者に対して『この程度お安くなりますよ』と金額に換算して見せます。一方で、これまでのリフォーム提案では金額面の提示というよりも、いかにご自身の家が快適で使い勝手がよくなるかという点を強調してきました。この2つをタイアップさせ、省エネによる価格面でのメリットと最新機器の快適性、この両方を提案することで、よりお客様にとってわかりやすく利便性の高い状況をつくることができるのでは、と考えました」

―― 2018年4月に導入した新サービス「エネカリ」について、教えてください。

岩崎社長「家庭での省エネを進めていく際、消費者は省エネで毎月の光熱費を下げたいという思いがあるのに、そのためにまず高額の機器を購入して工事費を負担しなければいけないというのが、一つの『ブレーキ』になっていました。
「最新機器の利用料は、毎月の電気料金とパックでお支払いいただく」
「最新機器の利用料は、毎月の電気料金とパックでお支払いいただく」
 『省エネのために機器を所有してもらう』という今までの考え方から、『機器を所有せずに利用してもらう』という考え方に転換したサービスが『エネカリ』です。最新機器の利用料は、毎月の電気料金とパックでお支払いいただく。初期費用はゼロ円で、10年の契約満了時には、省エネ機器を無料で譲渡するというシステムです。これは、省エネ機器を所有する時代から、レンタルして利用する時代へのシフト、という世の中への提案なのです。最初はIHやエコキュートなどの省エネ機器から始めますが、太陽光パネル、LED照明、エアコンなど、省エネ機器全般がエネカリの対象になっていきます。電気料金と機器の利用料がパックになっているという点が差別化ポイントです。
 政府が掲げるエネルギー方針の中で、既存住宅については、『2020年までに省エネリフォームを倍増させる』という目標が掲げられていますが、現状はなかなか進んでいきません。この政府の方針と現実の乖離を、新サービスの『エネカリ』で打開していきたいと考えています。
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