エネルギッシュな熱血上司は、新入社員から疎まれる存在のようだ。
企業の人材育成を支援するリクルートマネジメントソリューションズ(東京都品川区)が、2018年6月15日に発表。18年の新入社員を対象に「職場や上司に期待すること」を聞いたところ、最近の5年間で、「言うべきことは言い、厳しく指導すること」や「仕事に情熱を持って取り組むこと」と答えた人は減っており、「アツい上司」より「受信力のある個別指導型」の上司を理想としていることがわかった。
受信力のある個別指導型の上司が理想
調査は、「社会人として働くうえで大切にしたいこと」「職場や上司に期待すること」「身につけたい力 」について公表。その中で、「職場や上司に期待することは何ですか?」の問いに、「相手の意見や考え方に耳を傾けること」が不動のトップを堅持。「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」や「よいこと・よい仕事をほめること」を選んだ人は、5年間増え続けている。
その半面、近年の新入社員にはエネルギッシュな熱血上司は求められなくなっている模様。新入社員にとっては、個人の考えやよい面を受けとめる「受信力」があり、ティーチングとコーチングの両立ができるような、「個別指導型の上司が理想といえそう」と、リクルートマネジメントソリューションズは分析している。
研修の場面でも、厳しい指摘やフィードバックから学ぶ新入社員は以前から存在する一方で、できるようになったことを認めてもらうことでグングン力を伸ばしていく人が増えている実感がある。また、全体の場ではなかなか手が挙がらなくても、一対一で耳を傾けてみると、しっかりと意見をもっていると感じることがあるという。
一方、「あなたが社会人として働いていくうえで大切にしたいことは何ですか?」の問いに、第1位は2017年と同じで「社会人としてのルール・マナーを身につけること」だった。2位は「仕事に必要なスキルや知識を身につけること」=別表参照。
ただ、1位の「社会人としてのルール・マナーを身につけること」が前年から3.5ポイント減っており、2010年の調査開始以来、最低値となった。その一方で2位の「仕事に必要なスキルや知識を身につけること」は、過去5年間で3.2ポイントも上昇して調査開始以来、最高値となった。
こうしたことから、2018年の新入社員は目の前の仕事を進めるために必要なスキルや知識への意識が高いことがうかがえる。
「皆が1つの目標を共有」って、ないかも......
さらに、「新入社員がどのような職場で働きたいと思っているのか」を聞くと、「お互いに助けあう」「アットホーム」な職場が、この5年間で不動のトップ2。注目は、3位の「お互いに個性を尊重する」が調査開始以来の最高値となり、5年間で10ポイント以上も上昇したこと。半面、「皆が1つの目標を共有している」はこの5年間で10ポイント近く下落。「お互いに鍛えあう」も、前年に引き続き最低値を更新した。
同期や同僚と鍛え合い、切磋琢磨しながら同じ目標に一丸となって進む、「体育会系」の職場よりも、アットホームで互いの個性を尊重しながら助け合う職場が支持される傾向が、ここ数年でさらに強まっている。和気藹々はわからないでもないが、会社が「同じ目標」を目指さないで、業績がアップすると考えているのだろうか――。上司としては不安な結果かもしれない。
新入社員が「これから身につけたい力」をみると、2018年も「コミュニケーション力」が大差で1位。次いで「専門知識」が2位だった。注目は、前年3位だった「マナー」が4.8ポイントも下げて5位に転落。代わって、「プレゼンテーション力」と「PCスキル」が上昇している。
なお、調査は2018年3~4月に、リクルートマネジメントソリューションズで実施した新入社員導入研修「8つの基本行動」の受講者を対象に実施。有効回答者数は、1278人(男女比:男性56.4%、女性42.1%、未回答1.5%)。