あの産経、読売まで...... 新聞社説が総スカン!「カジノ法案」がこれほど嫌われるワケ

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   カジノを含む統合型リゾート施設(IR)実施法案、いわゆる「カジノ法案」が多くの問題点を残しながら2018年6月19日衆院を通過した。同時に1か月の会期延長も決まり、政府・与党は何が何でも成立を目指す構えだ。

   大阪府や和歌山県などカジノ誘致に意欲を示す自治体や、観光客の増加による経済効果に期待する経済団体など、カジノ法案に賛成するところもあるが、主要メディアはオール野党の状態だ。なかでも、働き方改革や原発再稼働などの問題では賛否が割れる大手新聞が、そろって社説で反対の論陣を張っている。なぜ反対するのか、どこに問題があるのか、大手各紙の社説を読むと――。

  • 賭博性が非常に強いカジノ(写真はイメージ)
    賭博性が非常に強いカジノ(写真はイメージ)
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「人の不幸に頼るカジノが、成長戦略にふさわしいのか」

   カジノ法案に限っては、比較的政権寄りとみられている産経、読売を含め、朝日、毎日、日経、東京(中日)の主要6紙が「さまざまな弊害が指摘されており、慎重な審議が求められる」(読売・6月21日)として、今国会での性急な成立に批判的だ。

   その理由については、まずカジノが本来もっている賭博性、不健全さを各紙とも一様に指摘する。

「そもそも、ギャンブルに入れ込んだ顧客の散財に期待するような成長戦略は健全とは言えない。持続的な観光振興のためには、街並みや食、伝統芸能など、地域の魅力を生かした、地に足のついた取り組みが求められる」(読売・2月27日)。
「人の不幸を前提とするカジノが、浮揚策として本当にふさわしいのか、誘致に熱心な自治体は冷静に考える必要がある」(朝日・4月5日)。
「日本では古来、賭博を禁じてきた歴史がある。これが社会の美風をつくってきた。賭博は自分の勤労によらないで、カネを得ようとするから、必然的に勤労の美風をも害するのである」(東京・4月6日)。

と、各紙は「賭博場に経済効果を期待するなんて、恥ずかしくないのか!」と言わんばかりだ。

   特に問題なのは、パチンコ・パチスロに加えて、競馬・競輪など公営ギャンブルが盛んな日本は、世界でも有数の「ギャンブル依存症大国」なのに、なぜ依存症患者の増加に拍車をかけるカジノを造るのかという疑問だ。

「(依存症の)体験者によると、カジノの快感と喪失感はパチンコの比ではない。金額に比例して脳が刺激され、やめられなくなるという。誰にでもリスクがあり、治療には膨大な時間を要する」(朝日・5月22日)。
「約320万人と推計されるギャンブル依存症者の増加につながりかねない。対策として、日本人客の入場回数を『7日間で3回、28日間で10回』に制限する。さらに、1回6000円の入場料を徴収する。だが、この入場制限は不十分だ。上限まで通えば、ギャンブル依存そのものではないか」(毎日・4月29日)。
「(24時間営業の)カジノは、豪華な部屋で、高額な賭け金が動くゲームが、夜を徹して繰り返される。競馬やパチンコなどより、のめりこみやすい。この程度の規制では、依存症を根本的に防ぐことは難しい」(読売・2月27日)。
「(こうした規制について)自民党の一部から『過剰な規制だ』との批判が噴出しているのは驚く。1週間で3回も通うのは頻繁な利用だ。シンガポールでは、月6回以上の利用者に対し、カウンセリングを実施している。総合的な依存症対策にも視野を広げるべきだ」(産経・3月5日)。
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