漫画を読む理由に「暇つぶし」や「気軽さ」をあげる人が多いなか、働く女性のうち、幹部や経営層は「心の支え」や「ストレス発散」のために漫画を読む人の割合が高いことがわかった。
トゥ・ディファクトと大日本印刷(DNP)などが共同運営するハイブリッド型総合書店「honto」が、全国の20代~50代の働く女性400人(各年代100人)を対象に、好きな漫画や影響を受けた漫画に関する調査を実施した。2018年6月11日の発表。
女性の幹部・経営者層が、漫画を読む頻度が最も高く、読む時間が長いことも判明。じつに29%の人が「毎日読む」と回答した。
女性幹部や経営層は「ファンタジー」漫画を読まない
調査からは、働く女性が恋愛漫画だけでなく、ヒューマンドラマからギャグ漫画まで、幅広いジャンルの漫画を読み、ストレス解消に役立てたり、落ち込んだ気分を奮い立たせたり、生き方のヒントを得たりしていることがわかった。
漫画を読む頻度は、全体では「月1回」が多い傾向で、漫画を読む時間は約80%が「1時間未満」と回答した。漫画を読む頻度が最も高いのは、幹部・経営層で「毎日読む」「2~3日に1回(読む)」という回答がともに29%だった。全体的には「月1回」の31%だった。
また漫画を読む時間は、全体では「30分未満」と「1時間未満」がそれぞれ40%。役職別にみても、「30分未満」と回答した人が多くを占めたが、幹部・経営層では「1時間以上2時間未満」が57%と、多忙な中でも漫画を読んでいることがうかがえる。
ジャンル別の人気の1位は、役職に関わらず「恋愛」。ただ、一般職や中間管理職は全体的に「女性向け」の漫画を読む傾向にあるのに対して、幹部・経営層では57%の人が「男性向けの漫画」を読んでいる。幹部・経営層には「ファンタジー」を読む人がおらず 、「ヒューマンドラマ」「仕事・職業」といったジャンルが好まれることがわかった。
女性の社会進出と活躍に伴い役職の違いが、読むジャンルに影響をあたえているようだ。
漫画を読む理由では、役職に関わらず30%前後の人が「暇つぶし」を選び、「気軽に読めるから」「仕事のストレス発散」といった理由が続く。なかでも、幹部・経営層は「心の支えになるから」が21%と、一般職・中間管理職層の2倍に。仕事の疲れを癒すのに、漫画を利用しているらしい。
「元気が出る」「自分も頑張ろうと思えた」
ビジネスの役立つ、「心の支えになった漫画」の1位は、「ONE PIECE」(尾田栄一郎氏、集英社)、2位は「SLAM DUNK」(井上雅彦氏、集英社)3位が「働きマン」(安野モヨコ氏、講談社)だった。
調査に寄せられたコメントには、
「個性豊かなメンバーたちが一丸となっている姿に、元気が出る。チームワークの作り方の勉強になる」(「ONE PIECE」東京都在住28歳、一般職)
「つらいときに安西先生の言葉を思い出す」(「SLAM DUNK」宮城県在住50歳、一般職)
「一生懸命仕事に打ち込む主人公の姿に好感を持つとともに、自分も頑張ろうと思えたから」(「働きマン」兵庫県在住42歳、中間管理職)
とある。
「ONE PIECE」は幅広く支持を集め、海賊王を目指す主人公のルフィと仲間たちが力を合わせて目標に向かう姿から、勇気やエネルギーをもらえるようだ。
また、感銘を受けた漫画の登場人物は「ONE PIECE」のルフィが1位だったが、2位には「仕事・職業」ジャンルから松方弘子(「働きマン」)と島耕作(「課長 島耕作」シリーズ 弘兼憲史氏、講談社)がトップ3。逆境にあっても自分の信念を持ち立ち向かう姿に感銘を受けているようすがうかがえる。現実的な職場を舞台にしているため、自分の現状を投影させやすいのかもしれない。