2018年6月に開幕するサッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会で、最も注目を集めている選手はアルゼンチン代表のリオネル・メッシ選手ではないでしょうか。これまで数々の栄冠を手にしてきたメッシですが、意外にもW杯での優勝経験はゼロ。今大会中に31歳になるメッシにとって事実上「最後のW杯」だと予想されるため、世界中のメディアがメッシの一挙手一投足に関心を寄せています。
そんななか、メッシが自身の引退について語った発言をめぐり、「引退か?」「いや、現役続行だ!」と、メディアの解釈が真っ二つに割れてしまいました。さて、メッシの真意は――。
アルゼンチンの命運、「神様、メッシ様」にかかる!
世界最高のサッカー選手と称されるメッシですが、じつは2016年に母国代表チームからの引退を表明していました。
ファンの熱烈な要望もあって引退を撤回したメッシ。現在は主将としてアルゼンチン代表チームをけん引していますが、今大会で悲願のW杯を手にするかどうかは、まさにメッシの双肩にかかっているようです。
Argentina's hopes of lifting the World Cup rest heavily on Messi's shoulders.
(アルゼンチンがW杯を掲げられるかどうかは、メッシの両肩に重くのしかかっている).
・rest on one's shoulders:双肩にかかる、両肩にのしかかっている
・heavily:重く
アルゼンチンのマウリシオ・マクリ大統領まで、アルゼンチンがW杯で優勝できるかどうかは「神とメッシが決める」と言うほどです。
God and Messi will decide if Argentina win the World Cup.
(神とメッシが、アルゼンチンがW杯で勝てるかどうかを決定する)
アルゼンチン中の期待を一身に背負うなか、当のメッシは母国の優勝を妨げる可能性がある「ライバル国」として、「ブラジル」「ドイツ」「スペイン」「フランス」「ベルギー」の5国を挙げました。
とくに、「フランス」と「ベルギー」は、「あまり話題にならないけど警戒している」とか。まったく楽観視はしていないようです。
「どう戦って、どういった結果になるか」メッシ発言、どう読む?
そんなメッシが、W杯を前にインタビューで語った発言が波紋を呼んでいます。
ワールドカップの後に引退するかどうかの質問に対して、次のように語りました。
I don't know. It will depend on how we do, how it ends.
(わからないよ。我々がどう戦って、どういった結果になるかによるね)
・depend on:~次第、~による
さあ、この発言、あなたならどう解釈しますか?
実際の報道は、みごとに二つに割れました!
あるメディアは「メッシ、W杯後に引退!」と報道し、違うメディアは「メッシ、現役続行の可能性!」と報道する始末。たったひと言をめぐって、こんなにも解釈が割れるのかと驚くほどでした。
インタビュー記事を読む限り、メッシは、「優勝したら現役続行する」とも「負けたら引退する」とも、具体的には何も言っていません。実際にどう戦ってどういった結果になるか、終わってみないと自身の気持ちもわからない、それこそ「神とメッシのみぞ知る」ということでしょうか。
さて、ここで「今週のニュースな英語」です。今回は波紋を呼んだメッシの発言から「depend on」を取り上げます。「~次第」とか「~による」という意味で、とにかく日常的によく使う表現です。ぜひ使い方をマスターしてください。
一番シンプルなのは、「あなた次第です」というこの表現です。
It depends on you.(あなた次第です)
たとえば、レストランで「パスタとピザ、どっちを注文する?」という場面や、「夏休みはハワイに行く? それとも北海道?」という場面で「It depends on you」(あなたが決めて)と使えます。
もっとシンプルに、「It depends」(場合によるね)もよく使います。
It depends.
場合によるね。一概に言えない。
イエスかノーとハッキリ言えない時や、いろんな状況があって何とも言えない時に便利な表現です。
実際に私も頻繁に使いますが、肩をすくめて神妙な表情で「It depends」(何とも言えないわね)と言うと、「そうか、じゃあ仕方ないね」と相手が納得してくれるから不思議です。
さて、はじまったばかりのW杯ですが、ロシア大会後にメッシが引退をするかどうか...... ここはひとつ、「何とも言えない」というニュアンスをくみ取って、メッシの活躍ぶりに注目することにしましょう。(井津川倫子)