ここ数年、副業を認める企業が少しずつ増えているなか、企業側も社員も「副業・複業(兼業)」に対する「備え」が不十分であることがわかった。8割以上の管理職が副業・兼業を認める意向を持ちながらも、働き方や組織体制の整備が不十分だったり、社員側も「副業したい」と思いながらも、何もしていなかったりする。
総合人事・人財サービスのアデコ(東京都港区)が2018年6月6日に発表。上場企業に勤務する30~50代の管理職(部長職・課長職)510人と、20~30代の一般社員500人を対象に、「副業・複業に関する調査」を実施した。
管理職の8割が認める意向だが......
アデコの調査によると、副業・兼業について510人の管理職クラスに、「あなたのお勤め先では、現在、自社の社員に副業・複業を認めていますか」と聞いたところ、66.3%が「禁止している」と回答した。
その理由として、もっとも多かった答えは「社員の長時間労働や過重労働を助長してしまうから」が29.9%、次いで「情報漏えいのリスクがあるから」27.8%だった。
ただ、管理職の8割以上が、「個人的には副業・複業を認めたほうがよい」と考えており、その理由としてもっとも多かったのが、従業員の「収入増」(35.7%)と「スキルアップ」(34.9%)だった。
さらに、「禁止している」と答えた338人の管理職に対して、「将来的に、認めることを検討していますか」との問いには、「認める方向で検討中」が0.6%、「一定の懸念が解消されれば、認めることを検討する」も8.6%にとどまった。
一方、500人の一般社員に対して、「あなたはこれまでに、副業・複業をした経験がありますか」と聞いたところ、76.2%が「過去も現在もしたことがない」と回答した。
ただ、「経験がない」と回答した一般社員の55.1%は、今後、「副業・複業をしてみたい」と考えており、その理由のトップは「収入を増やしたいから」(81.4%)。次いで、「空いた時間の有効活用」(44.8%)があげられた。
とはいえ、現状では約6割の人が副業・複業時代に向けて、「何もしていない」と答えた。
管理職を含め、企業側が副業・複業時代の働き方や組織のあり方について理解を深めることが必要になっているとともに、社員側も本業以外の業務スキルや資格の取得などの「備え」が必要になっているようだ。