展示会での工夫
そもそも、両社の出会いは東京ビッグサイトでの展示会でした。この会場でS社は、相互に技術面で被りのないIT系ベンチャー数社と共同でブース運営をしていました。数社分のセールスポイントを明確に見せるためには、そこそこのブースサイズになり、まずはそれが信用力を印象づける要因になったと、B放送の新規事業担当N部長が話してくれました。
「展示会でブースサイズは結構重要です。もちろんどんな小さな会社でも、我々が組みたいと思えばそれはありなのですが、展示会はとにかく広くて出店企業も多い。とてもとてもすべては見て回れないので、勢い程度のサイズで目に付くブースを優先的にピックアップせざるを得なくなるのです。S社のブースが、じつは他社との共同ブースだと知ったのは、展示会終了後でした。ビジネスでつながりのあるベンチャー同士が共同でブースを出すというのは、なかなか上手なやり方だと感心させられました」
なるほど、どんなにいい技術やノウハウを持っていたとしても、ブースに立ち寄ってもらえなければ、そもそも出会いのチャンスがないわけです。展示会で大手企業の目を引くために、複数ベンチャーが共同である程度のサイズのブースを出すというのは、確かに効果が見込めるちょっとした工夫かもしれません。