大手企業に「この会社となら......」と思わせたベンチャー社長のひと言(大関暁夫)

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展示会での工夫

   そもそも、両社の出会いは東京ビッグサイトでの展示会でした。この会場でS社は、相互に技術面で被りのないIT系ベンチャー数社と共同でブース運営をしていました。数社分のセールスポイントを明確に見せるためには、そこそこのブースサイズになり、まずはそれが信用力を印象づける要因になったと、B放送の新規事業担当N部長が話してくれました。

   「展示会でブースサイズは結構重要です。もちろんどんな小さな会社でも、我々が組みたいと思えばそれはありなのですが、展示会はとにかく広くて出店企業も多い。とてもとてもすべては見て回れないので、勢い程度のサイズで目に付くブースを優先的にピックアップせざるを得なくなるのです。S社のブースが、じつは他社との共同ブースだと知ったのは、展示会終了後でした。ビジネスでつながりのあるベンチャー同士が共同でブースを出すというのは、なかなか上手なやり方だと感心させられました」

   なるほど、どんなにいい技術やノウハウを持っていたとしても、ブースに立ち寄ってもらえなければ、そもそも出会いのチャンスがないわけです。展示会で大手企業の目を引くために、複数ベンチャーが共同である程度のサイズのブースを出すというのは、確かに効果が見込めるちょっとした工夫かもしれません。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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