商社大好き、マスコミ嫌い? 難関大学就活生の人気企業の意外な結果

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   1位三菱商事、2位三井物産...... なんと就活生の人気上位100社のうち5位まで商社。そして、新聞・テレビ局・出版社などメディア各社はほとんど顔を出さない。また、東大生だけの人気ランクでは、財務省が省庁の4位に転落!

   いわゆる難関大学といわれる大学22校の就活学生の人気企業100社を調査したところ、こんな結果が出た。

  • 東京大学の安田講堂
    東京大学の安田講堂
  • 東京大学の安田講堂

商社人気は「先輩がイケてて、カッコいい」

   調査は、難関大学の新卒採用支援サービス「レクミー」を運営するリーディングマークが2018年6月1日に発表した。それによると、ベスト5位までの企業は1位三菱商事、2位三井物産、3位伊藤忠商事、4位住友商事、5位丸紅と、総合商社が独占する結果となった。

人気企業ランキング1~25位(リーディングマーク提供)
人気企業ランキング1~25位(リーディングマーク提供)

   昨年(17年)と比べて、4位と5位が入れ替わっただけで、5社による不動の独占状態がここ3年間続いている。また、双日(19位→15位)、豊田通商(27位→22位)が前年より順位を上げ、根強い商社人気が今年も続いた。

   三菱商事の人気は圧倒的だ。学生が希望する企業(5社まで)の1つに名前を挙げた割合は22.1%で、5人に1人が「行きたい会社」と答えたことになる。いったい、なぜ商社に人気が集まるのか――。J-CASTニュース会社ウォッチ編集部の取材に応じた、調査を担当したリーディングマーク新卒採用事業部の山田桐汰・副事業部長はこう説明した。

「難関大学では、先輩・後輩のつながりが強いから先輩の影響が大きいです。商社で働く先輩や1学年上の内定者がイケてる、カッコいいね、と。商社側も採用ではOB訪問を盛んに行っていますから、ますます憧れるのです。仕事内容もチャレンジ精神に満ち、海外で働けて面白そうというイメージがあります。もちろん、給料も高く待遇がいいことも非常に大きい要素です」

   カッコいいといえば、広告業界の人気も復活した。昨年、社員の過労死事件で順位を落とした電通が26位→17位に上昇。アサツーディ・ケイ(80位)、サイバーエージェント(98位)などの広告代理店が新たにランクインした。

「世界のトヨタ」が30位に甘んじるワケ

   その一方で、大リストラを迫られている大手銀行など金融・生保業界が軒並み順位を落とした。みずほフィナンシャルグループ(14位→28位)、三菱UFJ信託銀行(25位→37位)、三井住友銀行(12位→19位)、りそな銀行(39位→44位)、日本生命保険(50位→58位)、第一生命保険(55位→78位)などだ。

26~50位
26~50位

   山田さんによると、「こうした金融関係の落ち込みで、相対的に人気が上昇しているのがメーカー企業です」という。

   サントリー(9位→7位)、資生堂(22位→21位)、味の素(21位→20位)など、毎年上位の「人気御三家」の順位は2018年も大差がないなか、花王(33位→24位)、日清食品グループ(98位→64位)、アサヒビール(44位→38位)など順位を上げる企業が目立った。また、新たにサッポロビール(83位)、森永製菓(88位)、本田技研(91位)などがランクインした。

   それにしても、「世界のトヨタ」が30位(昨年は31位)とはどういうワケか。ベスト5位に入ってもおかしくない超ビッグ企業のはずだが――。

   山田さんはこう語る。「愛知県(本社・豊田市)に行きたくないというのが難関大学の学生のホンネです。中部地方の学生には圧倒的な人気があるのですが」

   メーカー以外で大きく順位を上げたのがIT業界だ。楽天(86位→40位)やリクルートホールディングス(82位→53位)、グーグル(70位→57位)などウェブサービスを運営する企業が目立つ。インターネット広告のサイバーエージェントもこの分野に含まれる。ITが時代の最先端を突っ走っていることもあるが、「将来の起業を考えての人気も高まっています」と山田さんは指摘する。

「起業やベンチャーに興味を持つ学生が増えています。かといって、いくらブランド大学を出てもいきなり起業する自信はないので、楽天やリクルートなどでビジネスを勉強してから独立する計画を持つ学生が多いです」

「建物オタク」の慶応、「飛行機・鉄道オタク」の早稲田?

   かつては、新聞・テレビ・出版などのマスコミ企業の人気が高い時代が続いた。しかし現在、上位100社に名を連ねているのは、日本放送協会(NHK)(25位)と、日本テレビやフジテレビなどのキー局を抜き、100位ギリギリに初めてランクインしたテレビ東京だけだ。

   近年の学生は、メディアで働きたいと思わなくなったのだろうか。山田さんは、

「朝日新聞がベスト3に入った時代があったそうですが、今年は117位でした。それでも新聞社の中ではトップです。インターネットで情報を得る時代になり、新聞やテレビの影響力が下がっています。それでも一部の若者にはマスコミは熱狂的に人気があり、会社紹介のイベントでは多くの人が集まります。テレビ東京の躍進は、『池の水を抜く』とか『Youは何しに日本へ?』といった、おもしろいことをする取り組みが受けているのだと思います」

と、説明する。

51~75位
51~75位

   また、今回の調査では主な大学別の比較も行なった。東京大・慶応大・早稲田大だが、大学ごとの特色が出る結果となった。東京大には、中央官庁の志望者が多いが、今年は省庁の人気順位が大きく変わった。トップが経済産業省(東大生の順位で25位)、続いて国土交通省(37位)、外務省(42位)、財務省(48位)と、文書改ざん問題に揺れる財務省が大きく後退した。

   また、銀行の人気でも日本政策投資銀行(18位)や国際協力銀行(JBIC)(29位)といった「官」に近い政策金融機関が順位を上げた。山田さんはこう語る。

「文書改ざん問題の影響はわかりませんが、人気は下がっているのは確かです。経産省がトップなのは、官庁の中でも仕事内容がビジネスに関係するイメージあること、国交省や外務省の場合は、大学での専攻(技術系や語学系など)の関係で進みたいと考えているのでしょう」

   また、慶応大では、三井不動産(7位)、三菱地所(8位)、森ビル(25位)と、ほかの大学に比べ、不動産関係の人気が圧倒的に高い。一方、早稲田では、全日本空輸(ANA)(8位)、日本航空(JAL)(8位)、JR東海(13位)、JR東日本(19位)、東京急行電鉄(24位)などの航空・鉄道事業の人気が、ほかの大学より高い。慶応には「建物オタク」、早稲田には「飛行機・鉄道オタク」が多いということだろうか。

   山田さんは、

「慶大生にはデベロッパーが人気です。街づくりをしたいと考える学生が多く、生活を豊かにする都市づくりに憧れをもっています。華のある仕事のイメージがあるようです。一方、早大生は華のある仕事より、航空や鉄道というみんなが使っているサービスで役に立ちたいと考えているようです。早慶の大学のカラーがよく出ています」

と、説明する。

   なお調査は、2018年2月26日~3月31日に実施。対象は、2019年春に卒業予定の「レクミー」に登録している会員のうち、東京大、一橋大、京都大、東京工業大、大阪大、神戸大、北海道大、東北大、名古屋大、九州大、慶応大、早稲田大などの計22大学の学生・大学院生だ。回答を寄せたのは、文系理系を合わせた計6374人(男性66.6%、女性33.4%)。学生1人につき第1志望から第5志望まで5社を選んでもらい、1社1点の合計点で評価した。

76~100位
76~100位
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