「建物オタク」の慶応、「飛行機・鉄道オタク」の早稲田?
かつては、新聞・テレビ・出版などのマスコミ企業の人気が高い時代が続いた。しかし現在、上位100社に名を連ねているのは、日本放送協会(NHK)(25位)と、日本テレビやフジテレビなどのキー局を抜き、100位ギリギリに初めてランクインしたテレビ東京だけだ。
近年の学生は、メディアで働きたいと思わなくなったのだろうか。山田さんは、
「朝日新聞がベスト3に入った時代があったそうですが、今年は117位でした。それでも新聞社の中ではトップです。インターネットで情報を得る時代になり、新聞やテレビの影響力が下がっています。それでも一部の若者にはマスコミは熱狂的に人気があり、会社紹介のイベントでは多くの人が集まります。テレビ東京の躍進は、『池の水を抜く』とか『Youは何しに日本へ?』といった、おもしろいことをする取り組みが受けているのだと思います」
と、説明する。
また、今回の調査では主な大学別の比較も行なった。東京大・慶応大・早稲田大だが、大学ごとの特色が出る結果となった。東京大には、中央官庁の志望者が多いが、今年は省庁の人気順位が大きく変わった。トップが経済産業省(東大生の順位で25位)、続いて国土交通省(37位)、外務省(42位)、財務省(48位)と、文書改ざん問題に揺れる財務省が大きく後退した。
また、銀行の人気でも日本政策投資銀行(18位)や国際協力銀行(JBIC)(29位)といった「官」に近い政策金融機関が順位を上げた。山田さんはこう語る。
「文書改ざん問題の影響はわかりませんが、人気は下がっているのは確かです。経産省がトップなのは、官庁の中でも仕事内容がビジネスに関係するイメージあること、国交省や外務省の場合は、大学での専攻(技術系や語学系など)の関係で進みたいと考えているのでしょう」
また、慶応大では、三井不動産(7位)、三菱地所(8位)、森ビル(25位)と、ほかの大学に比べ、不動産関係の人気が圧倒的に高い。一方、早稲田では、全日本空輸(ANA)(8位)、日本航空(JAL)(8位)、JR東海(13位)、JR東日本(19位)、東京急行電鉄(24位)などの航空・鉄道事業の人気が、ほかの大学より高い。慶応には「建物オタク」、早稲田には「飛行機・鉄道オタク」が多いということだろうか。
山田さんは、
「慶大生にはデベロッパーが人気です。街づくりをしたいと考える学生が多く、生活を豊かにする都市づくりに憧れをもっています。華のある仕事のイメージがあるようです。一方、早大生は華のある仕事より、航空や鉄道というみんなが使っているサービスで役に立ちたいと考えているようです。早慶の大学のカラーがよく出ています」
と、説明する。
なお調査は、2018年2月26日~3月31日に実施。対象は、2019年春に卒業予定の「レクミー」に登録している会員のうち、東京大、一橋大、京都大、東京工業大、大阪大、神戸大、北海道大、東北大、名古屋大、九州大、慶応大、早稲田大などの計22大学の学生・大学院生だ。回答を寄せたのは、文系理系を合わせた計6374人(男性66.6%、女性33.4%)。学生1人につき第1志望から第5志望まで5社を選んでもらい、1社1点の合計点で評価した。