ネットサーフィンは本来の仕事を妨げない
「私たちの興味は、私的なネット利用は単に仕事に退屈した時の自然な反応なのではないか、ということです。じつは、仕事が退屈になる理由と結果は十分解明されていません。たとえば、仕事に飽きてくる人がいたとして、それがどれほど生産性に有害なのか? また、勤務中の退屈が有害だとして、それを解消する手軽な方法があるのか? ネットサーフィンが退屈した時の手軽な対応の仕組みで、それによって退屈が解消されるとしたら、決して有害な行為だとはいえなくなるでしょう」
そこで研究チームは、米国の公立大学のフルタイム従業員463人にアンケートを実施。「仕事中にどのくらい退屈を感じているか」「仕事中にどのくらいネットサーフィンをしているか」「自分の仕事量はどのくらいか」「ネットサーフィン以外にどのくらい生産性を下げると思われる行動をしているか」(たとえば、同僚とのお喋りや仕事の備品を探すなどの無駄な行為)などを詳しく聞いた。
そして、それぞれの相関関係を分析した結果、「退屈する頻度の多さ」と「仕事量の少なさ」(=暇と感じている)が、両方ともネットサーフィンの多さと強く関連していることがわかった。
つまり、ネットサーフィンは、本来するべき仕事の妨げになっているわけではなく、退屈と暇を強く感じている時の自然な対処法になっているというのだ。
ピンデク博士はこう語る。
「退屈しのぎにネットサーフィンをしてしまうのは自然な心理です。必ずしも生産性を下げている行為とは言えません。従業員は、仕事量が少ない時もネットサーフィンをしがちですが、この場合も生産性を下げているとは言えないでしょう」
そして、こうつけ加えた。
「企業側がネットサーフィンを禁じる理由があるとすれば、サイバーセキュリティーの脅威になるということだけです。ただし、もちろんネットサーフィンのやりすぎは禁物です」