本年度(2018年)の新人が入社して2か月が経とうとしている。毎年この時期になると新人の早期離職の話題が出るものだが、本年は特によく耳にするように思う。
【参考リンク】入社初日に「辞めたい」:超早期退社する新入社員は「社長の話にがっかり」「労組加入が恐怖」
筆者は若手が流動化するのはよいことだと考えているので、転職者が増えること自体にはポジティブだが、入社から半年以内の離職はオススメしないし、はっきり言えばそうしたケースは採用する企業側のミスだと考えている。いい機会なのでまとめておこう。
面接官のレベル低すぎでは?
結論から言えば、入社から半年以内の「超」早期離職は完全に採用した企業側のミスだ。新人にたとえどんな問題があったとしても、それを面接過程で見抜けなかった面接官の責任である。
いったいどうやったら「一日で辞めようと思うような新人」に内定を出せるのか。筆者が人事担当役員なら面接した人事部員全員と面談し、面接能力に問題があるとわかった人間は翌年から採用セクションからは外すだろう。
問題は面接官のレベルだけではない。半年以内に離職するような新人には、おそらく就職活動の段階で、企業の実際の情報がほとんど提供されていなかった可能性が高い。「就活と入社後でまったくイメージが違った」というようなケースが典型だ。
1990年代までなら、「入社前と後で印象が180度変わる」というのは日本企業なら当たり前の話だった。なぜなら、新卒カードを使う新卒採用くらいしか(それなりの規模以上の)日本企業には入り口がなく、就活の時点で騙してでも入れてしまったもの勝ちという状況だったためだ。
困ったことに、21世紀の今でも同じスタンスで採用を続けている企業は、特に大手には少なくない。説明会では美辞麗句を並べたうわべだけの展望しか語らず、インターンシップはやったとしても会議室でのお手軽な一日インターンetc......
そうやって、できるだけリアルな社内情報に触れさせないようにしておきながら、ギャップに驚いて「辞めたい」と漏らす新人を「最近の新人はこらえ性がない」と言っている採用担当者を、筆者は何人も見てきている。
新人を騙して定着させようなんて時代錯誤も甚だしい
これだけ転職市場が成熟し、20代をターゲットとした第二新卒市場まで定着しているなか、新人を騙して定着させようという採用方針自体が間違いなのだ。
さて、そういう採用方針の古い会社を見分ける目安は、やはりインターンシップだろう。
実際の職場に入れずに学生だけを集めて、一日インターンなどを行う企業は、入社するなとまではいわないが、入社後にそれなりのギャップがあることは覚悟しておいたほうがいい。
ちなみに、転職の際、一つのキャリアとして評価されるには3年の職歴が一つの目安となる。そう考えると、現在の仕事の延長線上に希望するキャリアがあるのなら、できれば3年は頑張ってみることをオススメしたい。
しかし、まったく異なるキャリアや業種へ転身したいのなら、特に3年という節目にこだわる必要はないというのが筆者から新人へのアドバイスだ。(城繁幸)