日大アメフト部も東芝も根っこは一緒 不祥事のタネは上司の「保身」にあり!?(大関暁夫)

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「チャレンジ」の名の下、粉飾を指示したトップ

   T氏が引き合いにした東芝の粉飾決算のケースもまったく同じです。「チャレンジ」の名の下に粉飾を指示した当時のトップは、実質的に社長の人事権を握る同社経営者OBに対して、業績向上をアピールすることで自らの地位を守ろうという「保身」が働き、部下に違法行為を命じました。

   違法行為を命じられた幹部社員は、これに逆らった場合の自身の社内地位や出世コースからのドロップアウトを恐れ、「保身」が働いてコンプライアンス違反に手を染めることになった訳です。

   これらのケース以外でも、組織運営を脅かされるような不祥事には必ずと言っていいほど、組織防衛を後回しにした関係者個人の「保身」の影がチラつきます。自身を守ろうとすることは、人間の防衛本能として至極当たり前の行為ではありますが、それが行き過ぎてしまうと組織を犠牲にしてしまうということにもなりかねない、今回の日大アメフト部の一件を含めた過去の多くの事例はそう物語っているように思えます。

   組織におけるリーダーとスタッフ、企業における上司と部下、危機に直面した時にその上下関係のどちらにも現れる可能性がある法令違反につながる「保身」は、第三者が入り込む余地が少ないがために多くの場合、両者の相互牽制によってしか抑制できないものであると思われます。

   日大アメフト部の一件が日に日に大きく社会問題化していく中で、上司、部下それぞれにおける「保身」の管理こそ、組織における危機管理上の最重要ポイントのひとつであると、改めて強く認識させられる思いであります。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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