どんなに忙しくても夜は仕事をしない
東京都の脚本家の男性Bさん(36歳、妻と2人暮らし)も、在宅ワーク約10年の経験から、仕事と自由時間をキッチリ分けることの大切さと強調する。
「どんなに忙しくても、ダラダラ遅くまで仕事を続けず、19時には必ず打ち切り、好きな映画やテレビを見ます。それが集中力を高めて、ストレスをためないコツ。在宅は、仕事を続けると際限なくやることになりますから」
しかし、きつい締め切りに追われたらどうするのか――。「残業」せざるを得ないではないかと聞くと、「そうならないよう、計画的に早め早めに仕事をこなし、急な注文に備えておきます」という。よくプロデューサーから「3日後までに仕上げてくれ」などと突然の依頼が入るからだ。
それに応じないと、他の脚本家に仕事を奪われる。かといって、無理をし続けると体がもたない。
そこで、Bさんは体力づくりのためにエアロバイクを購入、自宅の仕事場兼居間で、毎日30分~1時間自転車を漕ぐ。自転車ならテレビを見ながらできるので、ストレス解消にもなり、一石二鳥。ほかにも気分転換の方法をいろいろ持っている。
「家の中ばかりだと飽きるので、図書館や喫茶店にパソコンを持ち込み、気分を変えます。妻が外で働いているので、料理は私が作ることが多い。ファミレスの厨房のバイト経験があるので、オムレツや肉野菜炒めなら作れます。また、猫を飼っており、じゃれて遊ぶとリラックスできます」
女性の場合は、きちんとメイクをして、通勤してもおかしくない服装に着替えると、シャキッとする人がいる。会社員からフリーのライターに転身した東京都の女性Cさん(35歳、子供1人)はこう語る。
「仕事のオンオフのメリハリをつけるために、化粧と身ぎれいな服装は欠かせません。家には鬼の上司も仲のよい同僚もいませんから、緊張感を持って仕事をするのが、会社員時代に思っていた以上に難しいのです。また、自宅での『勤務時間』は10時~18時と決め、その間は絶対に家事はしないことにしました。勤務時間中に家事をするなんて、ありえないことですから」
Cさんが化粧をする理由はもう一つある。自宅に近い駅ビルにひと月1万2000円で、シェアオフィスを借りている。ふだんは自宅で作業するが、集中したい時や仕事が行き詰った時は、すぐにそこに行き作業する。
「他のフリーランスの人々も仕事をしているし、何よりテレビや冷蔵庫などの誘惑がありません。宅急便も来ないので気が散らずに仕事がはかどります」