仕事は一人のフリーランスに任せないのが「ミソ」
―― 具体的に、どのようにフリーランス人材を活用されているのでしょう。
久原社長「基本的には、一つの仕事を、2、3人のフリーランスのグループで担当してもらいます。その作業が一人でできることでも、一人には任せません。当然一人当たりの売り上げが減りますが、その分、二つ、三つの仕事をしてもらいます。フリーランスが『個人』であることが問題であるならば、個人としてではなく、グループとして扱えばいいわけです。
新しい仕事が入ったとき、その仕事を最も得意とする人に担当してもらいます。フリーランスはある一つの分野が飛びぬけて得意な人たちですので、不得意な仕事を任せるのはもったいないですから」
―― フリーランスの報酬は、どのように分配するのですか。
久原社長「私は一緒に仕事をするフリーランスの方には、受注価格を完全にオープンにしています。契約書も全部見せて、『コミッションとして、いくらもらいますね』というようなことも伝えます。
一方、企業側にも細かい見積もりと、一般企業と当社の違いなども含め、良質でクオリティの高い仕事であることを、きちんと説明します。一般企業に発注するものと同じ品質のものが納品されるとわかれば、提示した価格について企業にもほぼご納得いただけます」
―― ビジネスのこれからの抱負について、お聞かせください。
久原社長「現在、さまざまな企業に『振り向くホームページ』をご提案している段階ですが、企業側もやりたいことは沢山あるのに、人材不足でそれができていないという悩みを抱えていますし、それでは成長の機会損失につながります。発注サイドのことも、受注サイドのこともわかっている、私のような担当者がフリーランスと企業の橋渡しになれば、経営者を応援すると同時に、フリーランスの活躍の場を創ることができ、『WIN WIN』の関係が築けます。今はこの仕組みを立ち上げたばかりですが、これをもっと広げていき、将来的には私がいなくても誰でも運営できるように、協会という形式に移行することを考えています」
(インタビュー 戸川明美)
プロフィール
久原 健司
(くはら・けんじ)
(株)プロイノベーション 代表取締役 / JAPRO認定講師
2001年東海大学工学部通信工学科卒業後、ITの人材派遣会社に入社。2003年にソフトウェア開発の会社でシステムエンジニアとして大手通信会社のWebアプリケーションシステム開発など多くの開発業務に携わった。2007年にプロイノベーションを設立。現在は、代表取締役を務める傍、JAPROの認定講師の資格を取得し、さまざまなIT企業を中心に研修なども行っている。1978年生まれ。