J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

仮想通貨が高騰するワケを解き明かす! ヒントは「グローバル」だから?(ひろぴー)

   さっそくですが、2017年、仮想通貨のビットコインの価格が急上昇したワケを知っていますか――。

   ビットコインの価格は1年間で10万円から240万円まで、24倍も上昇しました。しかし、多くの人は「なんだかよく分からないけど上昇した」。きっと、そう思っているのではないでしょうか。筆者は多くのメディア取材を受けましたが、その多くは「なぜ、ビットコインが上がったり下がったりするのか」という疑問があったように思います。

   そこで、改めてビットコインをはじめとする仮想通貨が上昇したワケを、説明したいと思います。

  • 2017年のビットコインの価格推移とイベント
    2017年のビットコインの価格推移とイベント
  • 2017年のビットコインの価格推移とイベント

理由は3つ!

   ズバリ! 仮想通貨の価格が上昇した主な理由は、3つあると考えられます。

【仮想通貨が高騰した3つの理由】

・日本で仮想通貨法案が施行されたこと
・ビットコインのハードフォーク(分裂)
・世界中の投資マネーが一斉に集中したこと

   順番に説明していきましょう。

【日本で仮想通貨法案が施行されたこと】

   じつは、ビットコインは2016年末から中国人によるキャピタルフライト(資産逃避)先として注目され、価格が上昇。2016年12月から2017年年初にかけて10万円から15万円まで急騰したことがありました。しかし、その後に中国当局が国内の仮想通貨取引を規制。価格は再び10万円に押し戻されることとなりました。

   その後に上昇の布石となったのが、2017年4月1日の日本の仮想通貨法案の施行なのです。同時にビックカメラでビットコイン決済が始まったことも後押しし、ビットコイン価格は急騰。昨年(2017年)のゴールデンウイーク明けには株式、FXの投資家が殺到し口座開設にも3週間もかかるほど取引所に個人投資家が大行列をつくることとなりました(実際にはインターネットで口座は開設できますから、かなりの時間を要したようです)。

   それまでは、ビットコインといえば「Mt.Goxでハッキングされた怪しいもの」という印象を持つ人が多かったのでしょう。しかし、法律が施行され大手家電量販店での買い物の支払いにも使えることで、このイメージは払しょく。価格の上昇は「買えば儲かる」という投資家心理を突き動かし、一気に投資マネーが流れ込むこととなったのです。

ビットコインが分裂した?

【ビットコインのハードフォーク(分裂)】

   次に大きなイベントとなったのは、2017年8月1日に起こったビットコインのハードフォークです。ハードフォークとは簡単にいうと、ビットコインの規格を変更することです。おもしろいのは、ハードフォーク(分裂)が起る際にビットコインを保有していると、新たに誕生する仮想通貨をもらうことができるのです。

   そのために、ほぼノーリスクで利益が出ると見込んだ投資家がビットコインを購入。結果、価格が上昇することとなりました。さらに8月1日に、新たに誕生したビットコインキャッシュ(BCH)を売却してビットコインを買う動きも出てきたために、より一層、価格上昇に火をつけることとなりました。

   その後も、ビットコインはハードフォークを繰り返し、ビットコインゴールド(BTG)、ビットコインダイヤモンド(BCD)と続々と「ビットコイン兄弟」が誕生。その度に価格が上昇することとなりました。

まだまだ上昇!?
まだまだ上昇!?

【世界中の投資マネーが一斉に集中】

   さて、ビットコインの価格上昇の背景には上のふたつのような理由がありますが、通常の株式市場では考えられない要因があったために価格が跳ね上がったと考えています。

   個人が海外の株式を購入しようとすると、証券会社に口座をつくり購入します。ただ、新興国の株式に投資するには証券会社も限られていたり、そもそも日本人の購入は困難であったりします。

   しかし、仮想通貨は違います。仮想通貨を買うためには、銀行口座や証券口座がなくても、たった1台のスマートフォン(携帯電話)とメールアドレスがあれば、取引所にアカウントを開設できるのです。ですから、南アフリカやインド、ジンバブエなどの自国通貨に不安がある新興国の個人でも簡単に購入できるワケです。

   そういった背景もあり、一度価格上昇が始まると上昇に拍車がかかりやすくなったのだと分析します。

ビットコインの時価総額は約1.7兆円

   さらに、2017年1月時点のビットコインの時価総額は約1.7兆円。日本企業でいえば、イオンや東芝と同じくらいの時価総額(2018年5月時点)になります。

   日本株では大きい規模ですが、世界中から資金が集まると1日で数千億円の売買代金が発生します。そうなると、値嵩株レベルのビットコインも新興銘柄のように値動きが軽くなってきます。そのために、2017年12月6日から8日のたった3日間で、価格が100万円も上昇することとなったのです。もちろん、下落するときも同様の値幅で下落する可能性もありますが...... 

   また、仮想通貨の価格は取引所によって異なり、国が違うとその価格差はより一層広がる傾向にありあます。その例として、日本や米国ではビットコイン価格が100万円の時には、仮想通貨人気のある韓国では110万円ほど、ジンバブエではなんと150万円で取引されているということもあったほどです。

   2018年5月現在、ビットコインの売買高は70万円から100万円までの価格上昇と共に再び上昇傾向にあります。今後も日本をはじめとする取引所の増加が予定されておりますし、ライトニングネットワーク(ペイメントチャネルで繋がっている人であれば、誰にでも送金を可能とする仕組み)という新しい技術も実装されつつあります。

   一時は高値から3分の1になったビットコインですが、より一層の新規マネーの流入が考えられますし、新興国ではやはり実利用として普及が続くと考えられます。

   コインチェック事件後、「仮想通貨のバブルは弾けた」とのコメントが、メディアに踊っていました。しかし、それは昨年の5月末に暴落した際にも、9月に中国の取引所規制がかかった際にも同様のコメントを見かけました。

   仮想通貨への投資は、にわかアナリストやコメンテーターに踊らされることなく、正しい知識と情報を身に付けて進めていきたいですね。(ひろぴー)