就活で急増! 企業が親まで巻き込む「オヤカク」って何だ?

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   2019年春卒業の大学生の就職活動が本格化しているが、近年、「オヤカク」という就活用語が広がっているという。

   「オヤカク」(親確)とは、「親に確認する」ことが語源。企業が内定者を確保するため、内定予定者の親に対して「内定承諾」を確認するという。子どもの就職に、ここまで親が干渉する時代になったかとの感慨があるが、当の親たちは「オヤカク」をどう思っているのだろうか――。

  • 就活で頑張る学生。「親」は関係ないはずだが……(写真はイメージ)
    就活で頑張る学生。「親」は関係ないはずだが……(写真はイメージ)
  • 就活で頑張る学生。「親」は関係ないはずだが……(写真はイメージ)

内定予定者の「親の承諾を確認する」

   主婦に特化した就労支援サービスを展開するビースタイル(東京都新宿区)の調査機関「しゅふJOB総研」が、712人の働く主婦に子どもの就活への関わり方や、「オヤカク」に関する意見や印象を自由に書いてもらったところ、親の半数近くが「オヤカク」を行なう企業には批判的で、「(企業の印象が)悪い」と答えた人が、「良い」と答えた人より2.5倍も多かった。調査は2018年5月7日の発表。

   「オヤカク」は、具体的には「挨拶を兼ねて親に電話する」ことから、「会社紹介のパンフレットやDVDを親に送り、どういう会社か説明して安心させる」ことや、「採用担当者が家庭訪問をする」「親の同意書をとる」ことまで、さまざまなケースがあるといわれる。

   J-CASTニュース会社ウォッチ編集部の取材に応じた「しゅふJOB総研」の川上敬太郎所長はこう説明した。

「『オヤカク』は数年前から脚光を浴び始めた言葉です。企業が内定者の親と接触することは以前からありましたが、最近は親が会社説明会に同行したり、親向けの会社説明会が開かれたりするなど、就活に親が関与する傾向が目立っています。親の立場としては、ブラック企業など新しい問題が出ており、子どもの就活に口を出したくなる。一方、企業としては、売り手市場で採用難だから内定辞退を避けたい。特に親の意見でひっくり返る例が増えているので、事前に入社承諾の確認をとりたいわけです」

「バカバカしい。過保護だ」「企業の誠意を感じる」と賛否両論

   調査によると、「企業の『オヤカク』にどういう印象を持つか」を聞くと、「良い印象を持つ」「どちらかというと良い印象を持つ」が合わせて18.4%、「悪い印象を持つ」「どちらかというと悪い印象を持つ」が合わせて45.5%と、批判的な人が2.5倍に達した。

   それぞれの理由を聞くと、好意的な人は、

「隠れブラック企業は、子どもには判断できないでしょう」
「丁寧な対応で、企業の誠実さを感じて良い」
「内定取消の泣き寝入りが減る。親が堂々と口出し出来る」
「親も子どもの進路について把握しておくことが大切」

などと回答。その一方で、批判的な人からは、

「バカバカしいにもほどがある」
「社会人になるのに、親が関わるのは過保護すぎる」
「成人した本人が決めることに、本来親の同意は必要ない。それだけ内定後の辞退が多く、魅力のない会社なのだと思う」
「何かあれば、家族の責任問題にする印象を受ける」
「親が悪くて仕事が決まらなければ子どもに申し訳ない。親子関係にヒビが入りそう」

といった声が寄せられた。

   調査では、同時に「就活中の子どもにアドバイスをしたいかどうか」も聞いた。すると、「求められたら」も含めて「アドバイスをしたい」と答えた人が81.7と、「よほど困っている時以外は」も含めて「アドバイスをしない」と答えた人(17.1%)に比べて、圧倒的に多かった。

   おもしろいことに、アドバイスをしたい親に限って「オヤカク」を肯定する人が多く、「アドバイスをしない」と答えた人は、「オヤカク」を肯定した人はひとりもいなっかた。

   川上所長は、

「この結果は、とても印象的でした。子どもの就活にアドバイスしたい人ほど内定承諾にも関わりたいようです。また、子どもの自主性を尊重する人は、内定も子ども任せということです」

と話している。

就活にアドバイスしたい親ほど「オヤカク」に賛成

   ただ、川上所長は「一概にオヤカクが悪いとは言い切れない」と指摘する。というのは、「オヤカク」という言葉自体が、まだあまり知られていないからだ。調査では、「オヤカク」の言葉と、その意味を知っていた人は約15%だった。大半の人は「企業からオヤカクをされる子どもは、親が就活にシャシャリ出るからだ」という悪い印象の先入観を持っていたという。

   そのうえで、川上所長は、

「オヤカクも、親から承諾書をとって子どもを縛り付けるようなやり方では問題です。しかし、会社の姿をきちんとオープンに情報公開して、入社する当人だけでなく、家族にも理解を求める姿勢は、ブラック企業の存在やパワハラが問題になっている現在、企業の姿勢としては決して悪くないとも言えます。そうした企業の意図が伝わっていれば、調査結果も違っていたかもしれません。オヤカク自体がいい悪いではなく、就活は親子にとって親離れ子離れと重なる時期だから、子どもとどう向き合うか、しっかり考えてほしいものです」

と語った。

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