著名なコンサルタントから、「日本人の3大コンプレックスは、ハゲ、デブ、英語。この3つはビジネスになる」と教わりました。すなわち、コンプレックス解消を手助けする「増毛」「ダイエット」「英語教育」は儲かる、というのです。
「ふ~ん、そんなものかしら」と思っていたら、「ハゲ治療に光明が!」という記事を見つけました。英国の研究者がハゲ治療の特効薬を発見して話題になっているとのこと。どうやらコンプレックスがビジネスになるのは、日本だけではなさそうです。
英国人は、「友情よりもお金よりも、髪の毛が欲しい!」
2018年5月、英マンチェスター大学の研究チームが、骨粗しょう症の治療目的に開発された薬が「薄毛に効く可能性がある」と科学誌に発表、話題を呼んでいます。
A potential new cure for baldness has been discovered,
(薄毛に効く可能性がある新しい治療が発見された)
・potential:~可能性がある
・cure for:~の治療
・baldness:薄毛
・discover:発見する
この治療法が人間にも有効で安全であることを確かめるためには、臨床試験が必要とのことですが、もし有効であれば、これまでの常識を塗り替えるインパクトがあると報じています。
比較的安価での治療が可能になることから、多くの薄毛に悩む人たちが救われるというのです。もしかしたら、保険治療の範囲内で「薄毛治療」ができるかもしれないとか。そうであれば、この画期的な発見を応援したいところです。
ところが、この「画期的な発見」に危機感を募らせているのが「薄毛ビジネス」業界です。日本に限らず「薄毛コンプレックス」はビジネスになるようで、英国でも数千億ドル規模の巨大産業だそうです。安くて効果的な治療薬の発見は、高額な薄毛ビジネスに大きな打撃を与えるからでしょう。
ではなぜ、「薄毛コンプレックス」はビジネスになるのでしょうか――。ニュースでは、英国ジェントルマンの切実な想いを反映した調査結果が紹介されていました。
Survey in England suggested two thirds of hair loss sufferers would rather more hair than money or friends.
(英国の調査によると、薄毛に悩む人の3分の2は、お金や友達よりも髪の毛が欲しいと思っている)
・survey:調査
・sufferer:受難者、苦しむ人
なるほど、コンプレックスを解消するためにはお金を惜しまないというのは、万国共通な「人間の心理」のようです。
とりわけ、「薄毛」は自尊心や自信を失うなど感情的なダメージを伴うといいます。「薄毛」に悩む英国ジェントルマンのホンネを拾ってみると...。
I used to be more confident when I had hair.
(髪の毛があった時は、もっと自分に自信があった)
Given the chance, I'd definitely love to have hair again.
(チャンスがあるなら、もう一度髪の毛が欲しい)
I like that I'm not having to worry about washing it in the mornings.
(朝、髪の毛を洗う時に、抜け毛を心配しないようになりたい)
ふだんはあまり感情を表に出さない英国紳士たちですが、悩みは一緒。何だか、親近感がわいてきませんか?