後輩が「会社を辞めたい」と言ってきたら......
もし、「5月病」をこじらせた部下や後輩が「会社を辞めたい」と言ってきた場合、どう対応したらいいきゃすか?
まずは「会社を辞めたい」と言ってきたとしても、事情も聴かずに受理したり、むやみに引きとめたりしないことをオススメします。
それは重要なことが、「なぜ、会社を辞めたい」と考えるに至ったのかであって、会社を辞めるかどうかの単純な問題ではないことが多いからです。
4月の1か月を一生懸命に過ごすうちに、人間関係の不安や、仕事上での得手不得手が明確になってくる場合は少なくありません。ただ、それがうまく表現できずに「辞めたい」という発言になってしまったというケースがとても多く感じます。
本当に実現したいのは、辞めることではなく、「まったく折り合わない上司をどうにかしてほしい」という話だったり、「配属先での仕事があまりにもできず、前の仕事に戻りたい」といった話だったりと、本心が別のところにあることが意外とあるのです。
そのため、辞めたいと言ってきた人に対しては、その思いを一緒にひも解くようにかかわっていくことが望ましいといえます。当然、現場では仕事しながらになりますし、時間も限られていますから、せめてその人の言い分を聞いて受けとめてあげる。そんなかかわりができるといいかと思います。
また、もしかしたら体調やメンタル面での不調を疑うケースもあるかもしれません。「やる気がでない」という抽象的な症状でも、医者としては適応障害や不安障害といった診断を出す場合も多いのです。
もし、「メンタル不調」で辞めたということになれば、企業イメージに傷がつくことにもなりかねません。たとえば、最近寝れているか? といった単純な質問でも、心の健康状態を推し量ることはできますから、常にメンタル不調や体調も意識しながら、かかわっていくことができるとよいでしょう。(木村俊夫)
家庭教師・公務員試験対策講師を経て、30歳で小説家を志し活動したが失敗し挫折を経験する。そんな中での再出発がキャリアコンサルタントだった。とくに過去の経験から自分のことを自分で決められないケースを多く扱ったことから、今後は一人ひとりが自身と向き合うための手伝いがしたいとの強い思いで現在の道を進んでいる。2018年から、一般社団法人セルフキャリアデザイン協会の理事。https://self-cd.or.jp/