ミドル社員が選ぶ「理想の社長」は、1位が松下幸之助、2位に孫正義、3位は本田宗一郎......と、昭和の「伝説」の経営者が上位を占めたことが、人材採用・求人求職サービスのエン・ジャパンの調査でわかった。
また、ミドル社員の8割が自分の社長に「満足していない」と回答。さらには年収の高い社員ほど社長に「会社を導く理念やビジョン・実行力」を求めているが、年収の低い社員は「謙虚さや人材育成力」など部下思いの人間性を求めているという結果が出た。
上位を占めるのは、なぜか「昭和の伝説の社長」たち
調査はエン・ジャパンが運営する転職サイト「ミドルの転職」の35歳以上のユーザー1292人を対象に2018年3月1日~29日に実施。それによると、自由記述式で「理想の経営者」と、その理由を書いてもらった。トップ5は......
1位 松下幸之助(松下電器=現パナソニック創業)
「社員を家族として大事にする。徹底的に現場主義を貫いた」(48歳)
「人格・実績を兼ね備え、後世にも大きな影響を与えた」(46歳)
2位 孫正義(ソフトバンクグループ創業)
「アイデアと実行力、先見と確実性、笑顔と人望」(47歳)
「カリスマ性があり、強い経営力、実行力がある」(43歳)
3位 本田宗一郎(ホンダ創業)
「自動車メーカーが社会とどう関わるかを考え、HONDAブランドを作った」(40歳)
「自分の会社だけでなく、日本の未来を作ろうとした。技術に尊敬とこだわりがあった」(39歳)
4位 稲盛和夫(京セラ創業)
「ビジョンが明確、経営哲学でも謙虚さ・素直さといった人間性を重視した」(35歳)
「経営理念を実務レベルにまで落とし込む経営手腕」(50歳)
5位 柳井正(ユニクロ創業)
「マーケット全体と世の中におけるマーケットの立ち位置といった、鳥の目・魚の目・虫の目を持っている」(47歳)
「『行動する前に考えても無駄』という考え方、経営者としての覚悟、部下を導くリーダーシップ」(43歳)
このうち現役の経営者は、孫正義氏と柳井正氏だけだ。それにしても、この最先端技術と情報革命社会で、なぜ過去の伝説的な経営者の人気が高いのだろうか。J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部の取材に、エン・ジャパンの広報担当者はこう語った。
「現在の経営者の多くがまだ発展途上段階で、これからどうなるかわからない点があると思います。それに対して、松下さんや本田さんは、日本の復興に貢献して大会社を創り、目に見える形で成果を残しています。また、ミドル世代の多くが彼らの著書を愛読してファンになっていることも大きいです」
広報担当者によると、この5人のあとは、6位が永守重信(日本電産創業)、7位がスティーブ・ジョブス(アップル創業)、8位がカルロス・ゴーン(日産自動車会長)、9位にビル・ゲイツ(マイクロソフト創業)、10位は三木谷浩史(楽天創業)と、続く。
「永守さんの場合は、平昌五輪のスピードスケートで金メダルを2個とった高木奈那選手を、スポンサー企業として支えた好印象の影響もあると思います」(広報担当者)と話す。