ビットコインなどの仮想通貨を知るうえで避けて通れないことが分散型ネットワークです。
既存のネットワークである中央集権型ネットワークと違い、これは複数のサーバーでネットワークを管理する仕組み。下の図が、2つのネットワークの比較図です。
「P2P」の仕組みで、すべてのユーザーの取引履歴を共有・把握
中央集権型は、身近な例では銀行の顧客管理システムなどです。たとえばATMで1万円を送金した場合、その取引履歴は銀行の中央サーバーに転送され帳簿に記帳されます。
もし、ハッキングされると重大な事故となってしまうため、サイバー攻撃対策に多くの人員、莫大な額のコストを掛けて運用しています。
一方、ビットコインのネットワークで使われているのが分散型ネットワークです。この大きな特徴として、サーバーで管理しておらず、すべてのユーザーが取引履歴を共有し把握できるようになっています。
これをピア・ツー・ピア(P2P)といい、Skypeも採用しています。
取引履歴は暗号化されているので、誰が誰に送金しているのかわかりませんが、おカネの流れ、ウォレットの残高などは世界中の人が把握できるのです。
また、発行されているビットコインの流れをすべて把握していますので、偽物のビットコインが出現した場合、すぐに公開取引帳簿上に存在しなかったコインであることが発覚。取引が成立することができない仕組みになっています。
P2Pの課題を解決したブロックチェーン技術
P2Pは従来ある技術でしたが、データの整合性を担保することが課題でした。その解決のために、「ブロックチェーン」という技術を使って導入したのがビットコインです。
ブロックチェーンの生成を行うために、取引の承認作業はマイナーと呼ばれる人たちがマイニングマシンを利用して計算を行っています。そして、計算が解けたマイナーがビットコインをもらえます。そのため、わざわざ取引を改ざんするようなマイナーが現れないのです。
また、もし取引を改ざんしようとすると、ネットワークに繋がっている51%以上のマシンをハッキング(51%アタック)する必要があります。しかし、ビットコインは巨大なネットワークで繋がっていて、世界中のマイナーがマイニングに参加していることから、事実上、取引の改ざんは不可能といえるのです。
また、停電やシステム障害などで取引の停止が陥る可能性も皆無といえます。
事実、ビットコインの取引は過去に一度も改善されたことはなく、停止したこともありません。
ビットコインの登場で、セキュリティにコストがかからず、安定して稼働するこのネットワークへの移行が徐々に行われる、いわば従来のネットワークの大インフラ整備が行われるのではないでしょうか。これまで中央集権型で運用されていたネットワークが、次々と置き換わっていくのです。
そう考えると、ブロックチェーン技術、仮想通貨を無視することはできません。
インターネットができた当初でさえ、ハッキングリスクや情報漏洩など、さまざまなことが問題にされたはずです。しかし、結果として便利なのでみんな利用しているわけです。
分散型ネットワークはまだ若い技術ですが、安全で低コストという点が注目され、爆発的に普及するのではないでしょうか。