東日本大震災の発生から7年が過ぎても、なお被災による「直接型」の企業倒産(負債額1000万円以上の法人・個人企業)が後を絶たない。2018年4月(単月)に起った関連倒産は4件。そのうちの3件が、施設などが被災した「直接型」だった。
東京商工リサーチが5月1日に発表した「東日本大震災 関連倒産(4月度速報値)」によると、関連倒産は震災から86か月連続で発生し、累計件数は7年で1863件(4月27日現在)に達した。
4月は3件が「直接型」
2018年4月の倒産事例をみると、鮮魚卸が業績の伸び悩みなどで破産手続きに踏み切った。宮城県のカネモ末永商店は、東日本大震災で本社兼工場が津波で全壊。事業中断を余儀なくされた。その後、復旧整備補助事業などの補助金の活用で工場を再建。巻き返しを図ったが、計画どおりに業績が伸びないまま破産を申請した。
また、岩手県の丸竹水産はホタテ加工を手がけていたが、震災で本社が全壊する被害を受けた。その後、本社と加工場を新築して経営再建を図っていたが、収益が上がらず、厳しい経営が続いたことで先行きの見通しがつかず、破産手続きに踏み切った。
東京商工リサーチでは「震災関連」の経営破たんを、(1)震災で施設や設備・機械などが被災して経営破たんした「直接型」(2)震災以前から経営不振だったが、震災をきっかけに受けた間接的な影響によって経営破たんした「間接型」(3)震災の影響による経営破たんが、取引先や弁護士などへの取材で確認できたケース(直接・間接型)―― の3つに分けて集計している。
それによると、7年間の累計で1863件あった震災関連倒産のうち、「間接型」が1682件で90.2%を占める。これに対して、「直接型」は181件(9.7%)だった。
「直接型」が少ないのは、未曾有の災害で倒産としてはカウントされない「休廃業」に追い込まれた企業が相当数あることが影響しているとされる一方で、4月に破産申請した鮮魚卸のように、事業を再開したものの、経営が軌道に乗らず事業継続を断念するケースが後を絶たないことがある。
なかには老舗企業も少なくなく、震災の爪あとの深さがうかがえる。
一方、1863件の震災関連倒産のうち、都道府県別で最も多かったのは、東京都の557件だった。次いで、宮城県の160件、北海道85件、神奈川県78件、岩手県の75件と続く。被災地の東北6県の倒産件数は403件で、全体の21.6%にのぼる。
ちなみに、震災関連倒産がゼロなのは全国で島根県だけ。
産業別でみると、最多が宿泊業・飲食店などを含むサービス業などの496件。次いで、製造業の422件、卸売業344件、建設業222件、小売業174件と続く。