働き方改革で「勤務時間が足りない」と悩む声をよく聞きます。
景気は回復して仕事が増えているのに、人材採用がなかなか上手くいかないからです。求人倍率は中途採用で2倍に迫る状況。アルバイト・パートも同様。さらに中小企業に限定すれば、求人倍率は2ケタに迫っているくらい、会社としては採用したくても応募がこない状況にあります。
そのような状況で、会社は政府の要望でもある残業時間の削減に取り組んでいます。おそらく、ここまで残業を減らす意欲が高まった状況は過去になかったかもしれません。
社員の「仕事密度」は高まるばかり
独立行政法人・労働政策研修機構の調査によると、週当たりの労働時間の長さは平均39.2時間で、ほぼ法定時間に近づいてきました。そうなれば、どうなるか? 短い勤務時間で増加する仕事を、増えない人員でまかなうことになりますから、社員の仕事の密度が高くするしかありません。
当然ながら、AI(人工知能)やRPI(小さなコンピュータの「Raspberry Pi=ラズベリーパイ」)の活用で効率化を図りにいく会社も出つつあります。中長期的にはその効率化を期待しつつ、自分の居場所を探さなければいけないのは明らか。ただし、短期的には働き方改革で社員の負担が増えている職場が大半。
「社員は働き方改革で潰されるかもしれない」
と危機感を叫ぶ人がいるくらいです。
この危機感を会社も解決したいと感じていますが、
「採用が上手くいかないから、職場に負担をかけていることは自覚している。ところが、対策が見当たらない」
のです。
会社も何とかしたいものの手立てが見当たらない。そうだとすれば、負担感に苛まれてつぶれてしまわないように、社員が個々に対策を講じる必要があるのではないでしょうか?
協力者をさがせ!
そこで、筆者がオススメするのは周囲を見渡して協力者=Collaboratorsを見出す術を覚えておくこと。協力者とは、自分に任された仕事を最後までやり切り、期待どおりの成果につなげるため、
・仕事のサポートをしてくれる
・効率的な方法を教えてくれる
存在です。
筆者も協力者がいたから納期に間に合った、成果につながった仕事を幾つも経験しました。ただ、協力者は能動的に求めないと見つかりません。
みなさんも能動的に協力者を求めてみましょう。まずは自分の仕上げるべき仕事を棚卸して、協力者を要請すべき仕事をピックアップ。自分で抱え込んだら納期に間に合わない、自分の知見だけでは不十分など、周囲からの納得性が高い仕事に限ります。面倒だから誰かに丸投げするといった発想ではいけません。
そして、上司やリーダーと相談して協力者の要請に許可を得ましょう。さらに、誰に協力者を依頼するべきかを相談して決めましょう。ただし、依頼して快く受けてもらい、期待どおりの成果を導かなければなりません。
適任な協力者の特徴
上司やリーダーに、
「ところで誰に協力を依頼するのか?」
と聞かれたときに、適任を選ぶ目を磨いておきましょう。こうした協力者に適任の人には幾つかの特徴があります。
・期待に応えたい
・献身的
・工夫が好き
・ピンチに燃える
・挑戦心が高い
・専門性が高い
このような気質を2つ以上感じた人に協力者を依頼したいものです。
たとえば、「この資料を明日までにまとめておいてくれますか」と依頼されたときに、まとめるだけでなく参考になる資料を準備できる仕事ぶり。期待に応えたい気質と言えます。 あるいは、ふだんから誰も思いつかないような商品の起案をする人。工夫が好きな気質でしょう。また、誰もが嫌がる仕事に対して「自分がやります」と手を挙げる姿勢をみたことがある人は、ピンチに燃える気質といえるでしょう。
このような気質を、日頃の仕事ぶりや言動から観察しておかないと、誰を協力者にするか? 失敗することになる可能性が高いでしょう。ふだんは面識がないけれど、仕事がデキると社内で評判だからと協力を依頼したところ、
「いまは忙しいし、協力しなければいけない意味がわからない」
と、冷たく突き放される可能性が大。あるいは協力者になってくれたものの、期待した仕事ぶりでない、あるいは中途半端な仕事しかできなくて成果につながらないなどといったことになりかねません。
常日頃から周囲の同僚の仕事ぶりを観察して、いざというときの協力者をさがしておくことがとても大事です。このような観察を心がけて協力者と仕事をすることで「働き方改革」による負担感から少しでも解放されるような環境をつくっていきましょう。(高城幸司)