アベノミクスによる雇用環境の改善もあってか、近年、ひとり暮らしの若者が増えている。その若者たちがどんな家電製品を持っているか調べたところ、なんと炊飯器や掃除機を持っている割合が男女逆転。男性のほうが女性よりも高くなっていることがわかった。
ニッセイ基礎研究所が2018年4月16日に発表した。いくら最近の若い男性が家事をするようになったとはいえ、その分、若い女性がズボラになったということなのか? レポートをまとめた研究員に聞くと、意外な答えが――。
最近の若い女性は、料理と掃除をしなくなったのか?
レポートはニッセイ基礎研究所の主任研究員、久我尚子さんがまとめた「ひとり暮らしの若者の家電事情 ―雇用環境改善でひとり暮らしが増加、パソコンやスマホがあるからテレビはいらない?」。総務省や文部科学省、NHKなどの多くの調査データをもとに分析した。
それによると、20~34歳の未婚者の親との同居率(総務省「親と同居の未婚者の最近の状況」)は、バブル崩壊後の不況の影響もあって、1990年の約40%からずっと上昇し続け、ピーク時の2012年には約半数の48.9%に達した。
しかし、その後アベノミクスの効果が表れてくると、一転して低下傾向を示し、2016年には45.8%に下がった。
一方、30歳未満の単身勤労者世帯の家電保有率(総務省「全国消費実態調査」)をみると、1999年から2014年にかけて、男性では炊飯器、電子レンジ、洗濯機が約5割から約9割に大幅に上昇した。もともと保有率が高かった冷蔵庫や掃除機も約1割上昇した。
女性では、もともと家電の保有率が高かったため、全体的に上昇幅が少なく、炊飯器は約2割、洗濯機や電子レンジは約1割上昇しただけだった。逆に低下したものもあり、掃除機は約1割も下がっている。
その結果、2014年の炊飯器の保有率が男性では90.2%、女性では83.0%と男性のほうが6.9%高くなった。また、掃除機も男性が83.8%、女性が75.1%と、男性のほうが8.7%も高くなった。
1999年の時点では、それぞれ女性のほうが男性より、炊飯器で14.7%、掃除機では13.2%も保有率が高かったのだから、完全に逆転した。
炊飯器と掃除機といえば、「料理」と「お掃除」という家事の要となる大切な家電だ。これはいったいどういうことなのか? 若い女性が、男性より家事をしなくなったということだろうか?
調査をまとめた久我さんは、J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部の取材に笑いながら、こう説明した。
「最近の若い女性は過去の女性よりも料理をするケースが少なくなっているのは確かですが、それでも男性よりは料理をしています。女性の炊飯器の保有率が男性より低くなったのは、ダイエットを意識してご飯を積極的にとらなくなっているからと思われます。女性は野菜を中心としたさまざまな食材で料理する傾向がありますが、男性は自炊する場合もご飯を炊き、肉類などをおかずにたくさん食べる食事が好きなようです」