消費指標に「エース」登場! 黒田日銀がドキドキ、ヒヤヒヤ...... そのワケは?(鷲尾香一)

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悲願! 物価上昇率「2%目標」達成までの「距離」は?

   さて、このようにCTIは、やがては家計消費を代表する指標となっていく。この新たな指標の誕生に、もっとも関心を示したのは、日本銀行だ。

   日銀といえば、2013年3月に黒田東彦総裁が誕生し、「消費者物価指数の上昇率2%達成」を掲げ、自らが「異次元緩和」と呼んだ未曽有の金融緩和政策を開始した。

   だが、日銀総裁の任期5年中には、消費者物価上昇率の2%目標を達成することはなかった。

   2018年4月、黒田総裁は再任されたわけだが、「消費者物価の上昇率2%」という錦の御旗は降ろしていない。したがって、日銀にとって消費指標は最大の関心事でもあるわけだ。

   ある日銀幹部は、「CTIによって、消費動向がより正確に、詳細にわかるようになることは、金融政策にとっても重要なこと」と、歓迎の意を示している。

   では、参考指標ながら、この1月から公表されたCTIの結果はどうだったのか――。3月9日に公表されたCTIミクロである1月の世帯消費動向指数(総世帯)は 2015年を100として名目では97.8、実質では96.1だった。前年同月比は名目で1.0%の増加、実質では0.7%の減少。前月比(季節調整値)では、名目で2.4%の増加、実質で1.9%の増加だった。

   さらに、4月6日に発表された2月の世帯消費動向指数(総世帯)は名目で89.1、実質で87.6となり、1月よりも低下した。前年同月比では名目が0.3%の増加、実質が1.5%の減少。前月比(季節調整値)では、名目で3.2%の減少、実質で3.5%の減少と大きく落ち込んだ。

   今のところ、日銀にとってCTIは「死に馬に鍼指す」ようなものでしかないようだ。

(鷲尾香一)

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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