社長の考えを「見える化」して「共有」する
経営理念は経営の考え、すなわち社長の基本的な考えを見える化し、共有するために必要不可欠な要素です。
しかしながら、そのものだけではなかなか具体性を持って中身が伝わりにくいのも事実なのです。経営理念を浸透させしっかりと根付かせるためには、具体的に何をしたらよいのかという、行動指針と呼べるようなものの提示が手助けになります。
T社はその後順調に成長し、今では200人を超えた社員たちが経営理念の下、一丸となって業務に邁進しています。
経営理念は事業を立ちがた時の創業者の思いを、常に備忘録のように記すためにあると思われがちなのですが、じつは企業が不祥事や業績不振や組織内の不協和音にさいなまれた時に、皆が向かうべき方向を再確認するために羅針盤的な役割も果たしてくれるのです。ジャパネットたかたやT社のエピソードはそのことを如実に伝えてくれる好例であると思います。
高田氏は「不易流行」という言葉を引き合いに、企業経営に対する自身の考え方を連載の中で記しています。「不易」とは変えてはならない基本的な姿勢を堅持することであり、「流行」とは世の中の変化に柔軟に対応することです。
他の多くの成功を収めた経営者たちも、好んで座右の銘にするこの言葉。経営理念は「不易」を象徴する部分として、改めてその大切さを認識させられるところです。(大関暁夫)