ダメ会社の経営理念は「画餅」だ! そうしないために社長が打つ手は?(大関暁夫)

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経営理念を「精神論」で終わらせない

   前回も登場した地方で携帯電話の1次代理店を10数店舗経営するT社。創業から十数年が経った今から5年ほど前に、契約社員を含めたスタッフが100人を超え、これを機に店舗ごとに分かれているスタッフに一体感を持たせようと経営理念を制定しました。

   それは、同社M社長の創業来の信条を言葉にした「通信ビジネスを通じて、地域の皆様の生活に利便性と潤いを提供しつつ発展する」というものでした。

   本社はもとより、各店舗の店頭およびバックヤードにもこの理念を掲げ、毎朝朝礼で唱和もさせました。ところが半年が経ち1年が過ぎても、「どうも理念が社内に浸透している実感がない。若いスタッフが多い当社に経営理念という考え方自体が向かないのではないだろうか」と、社長が落胆ぎみに相談を持ちかけてきました。

   そこで私は社長に尋ねました――。

「社長はこの経営理念の実現のために、社員一人ひとりが、日々どのように行動することが必要だと考えていますか」

   社長は間髪入れずに答えました。

「『お客さまのご要望をしっかり聞くこと』『お役に立ちたいという気持ちで仕事をすること』『ウソをつかないこと』」。

   私はこう続けました。

「ならば社員にそれを伝えてください。理念そのものは精神論と受け取られがちです。その実現に向けては、日々何を心がけ、何をするべきなのか、具体的な行動指針を見せてあげなくては、経営者の思いは社員に伝わりません。社長が今自信を持って話された3つのことを繰り返し刷り込み社員がそれを行動に移してくれるなら、自然と経営理念は理解され、さらには社員の行動を通じてお客様にも自社の経営姿勢が伝わると思います」
大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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