三越伊勢丹HD、8年ぶりの赤字転落 その原因は......

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   三越伊勢丹ホールディングス(HD)が、8年ぶりに赤字に転落した。

   同社が2018年4月25日に発表した18年3月期通期(17年4月1日~18年3月31日)の業績予想修正によると、当期純利益は10億円の赤字(17年3月期、149億円の黒字)となり、前回業績予想(1月31日時点、80億円の黒字)を大きく下回る見通しとなった。

  • 三越伊勢丹HDが最終赤字へ(画像はイメージ)
    三越伊勢丹HDが最終赤字へ(画像はイメージ)
  • 三越伊勢丹HDが最終赤字へ(画像はイメージ)

百貨店、主力のアパレルでピンチ!?

   三越伊勢丹HDによると、赤字の要因は子会社の三越伊勢丹や三越伊勢丹フードサービスが保有する店舗設備などについて、約110億円の特別損失を計上したこと。

   売上高は、ほぼ予想どおりの1兆2680億円(前回予想は1兆2700億円)だった。一方、本業の儲けを示す営業利益が240億円(220億円)、経営の通信簿としての意味を持つ経常利益が270億円(240億円)と、前回の発表予想を上回った。

   とはいえ、同社をはじめ百貨店経営は苦戦が続く。大きな原因はAmazonをはじめとするインターネット通販の勃興だ。今後、小売業の売り上げ拡大には何が必要となるのだろうか――。流通経済研究所(東京都千代田区)主任研究員の池田満寿次さんは、2018年4月26日のJ‐CASTニュース会社ウォッチ編集部の取材に、

「Amazonをはじめとするネット通販の広まりは小売業全体に影響を及ぼしています。とりわけ百貨店であれば、主力とするアパレルでネット通販の利用も一般的になってきており、一層影響が出ていると考えられます」

と説明する。

   三菱伊勢丹HDの赤字は設備投資による特別損失の計上にあるが、ネット通販の浸透が赤字の遠因になっている可能性はある。

Amazonが実店舗を展開! 百貨店に処方箋はあるのか......

   その一方で、最近はAmazonがホールフーズ・マーケットを傘下に収めるなど、ネット通販が実店舗を展開しはじめている。これには、

「百貨店をはじめ、小売業にとって大きな脅威になると思います。今までの実店舗にはない、ドラスティックな改革を行ったりすることも考えられます」

と、池田さんは危機感を募らせている。

   では、百貨店になにか処方箋はあるのだろうか――。

「たとえば、イオンではシニア層向けの店舗を展開しており、毎朝ラジオ体操を行ったり、寄席などのイベントを行ったりすることで、顧客の誘致を図っています。ほかにも実店舗ならではの、見た目の楽しさや買い物する楽しさを、演出することでしょうか」

と、コミュニティをつくることやショッピングの演出へ力を注ぐことが今後重要になると語った。

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