正社員の親睦会費、部長4000円、課長3000円、ヒラ1000円也
もう一つ、この問題をややこしくしているのは、少なからざる企業で採用している「親睦会費」制度だ。これは正社員の給料から毎月一定額を天引きし、歓送迎会や異動の餞別の費用などに充てるというもの。だから、親睦会費を出していない派遣社員には「正式」の送別会を開きにくい事情がある。
J-CASTニュース会社ウォッチ編集部の取材に応じた元大手新聞記者はこう語る。
「私がいた部の親睦会費は社内では平均的な額で、部長が毎月4000円、課長が3000円、ヒラが1000円でした。カネを多く出す者の発言力が強いため、派遣社員を部の宴会に呼ぶかどうかは部長の一存で決まります。部長に気を使うのも嫌なので、派遣社員の送別会は、少人数の有志だけでやっていました」
親睦会費の問題についてはこんな怒りの意見があった。
「親睦会費がどーたらこーたら言うけど、毎月の一人頭は微々たる額だろ。で、それは派遣さんも良くやってくれた協力の上でのお給料だろ? ケチケチしないで送別会くらいやってやれよ、ちっちぇえな!」
ところが、意外なことに派遣社員自身は「開いてほしくない」という人が多いことが目立つ。その理由はこうだ――。
「煩わしさから解放されたくてわざわざ派遣社員として働いているのに、『派遣社員も歓送迎会するべき!』なんて流れになったら、迷惑な話だ」
「ぜひ開かないで下さい。我々は人ではなく期間限定の労働物ですので、謹んで御辞退申し上げます。ただ、正社員様の異動の際に半強制での参加や餞別の拠出を強いるのは止めて下さい」
正社員だった会社を退職、派遣社員として数社の勤務歴がある人も語った。
「派遣社員は、義理で社員さん達とのイベントに参加しなくてもいいところが利点と感じています。個人的には、去る者がお世話になった方々にきちんとご挨拶をして去ればいいと考えます」
「じつは有志で、というのも困るんですよ。やらない人が如何にも...... という感じで場が微妙な雰囲気になる。派遣社員は外部の方なので、きちんとケジメをつけるべき。差別ではなく区別。サラリとした付き合いで十分なはず」
ドライな人間関係が派遣のメリットというわけだ。ワンクリック投票の中では「有志とか、やりたい人が開けばいい」という声が圧倒的に多かったが、それに疑問を投げかける意見もあるから、つくづく送別会は難しい。